≪六節;カレイドの映し出したる光景――其の弐――≫
〔しかし―――今度の場面は、今までのと違い、慌ただしさが見て取れたのです。〕
―――ご注進にございます!!―――
丞:何事ですか、騒がしい―――
驃:お畏れながら、申し上げます――――
丞:・・・・カルマ、再軍備の件――――ですか・・・
驃:な―――・・・なんと・・・ご存知だったのですか?!丞相!!
丞:昨晩・・・天文を見ていましたら、北西の空に暗雲が立ち込めるのが見て取れました・・・
あの者達が、何か企んでいると睨んでいたのですが・・・それが、これほどまでに早かったとは―――
皇:で、では―――至急諸官を招聘(しょうへい)して・・・
丞:いえ、それはならぬ事です。
皇:(な・・・)ど、どうして―――
丞:もし、それをなさろうとすると、またもや非戦論者からの横槍が入り、遅きに失する虞(おそ)れがあるからです。
皇:そ―――そうか・・・ならば、どのようにすれば・・・・
丞:なに・・・ご心配なさらずとも、それにはうってつけの策を用意してありますゆえに・・・
〔和議はなった――――しかし、その後一年を待たずして、驃騎将軍からもたらされた、カルマ再軍備の一報・・・
でも、その有事をも、この「丞相」は見通していたのです。
そして、今度は後手に廻らぬよう―――丞相の取って置きの秘策をもってあたったのです。
では、その秘策とは・・・
病でもないのに、皇を偽りの病で倒れた事にし、他の者(これは、「非戦論者」と、カルマの両者)を牽制しようとする策だったのです。
そして―――皇の自室には、皇と丞相が・・・〕
皇:しかし―――なんだか後ろ髪が曳かれる想いだ・・・
丞:そうは申されずに―――万が一は、この私めが総ての事をひっ被ればよいまでの事・・・
皇:で―――でも、それでは姉さんに・・・
丞:・・・・それよりも、早くお支度を――――
皇:(ん―――?)・・・これは!!
丞:今より―――私と共に、コキュートスへと乗り込むのです。
皇:(!!)で・・・でも、私達二人だけで、どうにかなるものなので??
丞:いえ・・・すでに先遣隊として、『槍』と『盾』に先行させております。
皇:あの子達が―――?!!
丞:そうです・・・それに、奇襲を行うのなら、敵も―――ましてや味方も知らないでいる、今を於いて他はないのです!
皇:・・・・よし、判った―――!
姉さんがここまでお膳立てをしてくれたんだ・・・それに、ここでこの私が出ないわけには行かない、
ここで・・・総てを終わらせるんだ――――!!
〔そして、ここで場面がまた流れ―――今度は敵陣の、それも本拠と目される城塞の中のようです。
すると、そこでは既に、あの見慣れぬ真紅の鎧を纏った猛将が―――大方、敵方のさぞかし名のある将であろうか・・・を、相手に、
自身の持つ、焔より紅い“槍”を、その将に向かって振りかざしていたのです。〕
槍:喰らぇぇ〜〜――――――ッ!!
〜フレアーズ・フェイヴァリアット・アーツ〜
【火力最大顕現】
――アルド・ノヴァ――
敵:ぅぐぉおああ!!
盾:や〜〜―――ったよ!お前様ぁ!!
〔その猛将・・・『槍』の、最終極奥義とも取れるその技を喰らい、滅していくその敵将・・・
――――と、ここで、後から来た皇と、丞相が現れ・・・・〕
盾:あっ・・・お師様、見てやって下さい、この人が――――・・・(あら??)
皇:(ね、姉さん?!!)
槍:(丞相―――??)
〔しかし―――この時、丞相たる者は、実に思いも寄らぬ行動を取ったのです。
それは・・・今、猛将の一人―――槍が打ち倒した敵将の亡骸を、改めた――――と、いうこと・・・
ナゼ―――?? それは・・・〕
丞:(!)・・・どうやら、手遅れだったようです・・・・。
盾:えっ?? て、手遅れ―――って、どういう事なんですか? 現に、こいつはこの人の槍に貫かれて・・・・
丞:それは・・・この者の残骸から出ている、残留瘴気濃度が余りにも低いからです。
槍:な・・・にぃ?! 瘴気濃度が??
皇:・・・・と、いうことは、つまり――――
丞:そう―――・・・お前達は、この者達の抜け殻と闘っていたに過ぎないということ・・・・
考えても見なさい、今までに苦戦を強いられてきていた相手が、奇襲を受けたにせよ、こうもた易く滅せられることの出来る存在だったのか―――を!!
槍:な―――・・・・で、では、彼奴は・・・サウロンめは?!!
丞:恐らく・・・・もうすでに、ここには存在していないのでしょう・・・・。
盾:そ――――んな・・・・
丞:ですが―――ここで、手を拱(こまね)いているという事こそ、愚の骨頂というものです。
さぁ・・・一刻の猶予も儘ならない、このまま玉座の間まで踏み入り、その証拠となるモノを掲げて、
この戦乱が終わった事を、天下に知らしめるのです―――!!