≪二節;女皇の決意≫
〔それはそうと、ようやくにして今回の本来の目的を話し始めるアヱカ・・・
そう、ただ単に今回のことは、婀陀那を驚かせるためにではなく、そのことはほんの経緯の内での話―――
どうして、アヱカがこの国に来て、過去の盟友を呼び起こさせたのかと云うと・・・〕
ア:さて・・・幾分か回り道をしてしまったように思えるけど―――
私が今回君に会おうとしたのは、何もこんなことをするためだけではない。
今でこそ、表面上では平穏は保たれているように思えるけれど、それもいつまでもつか・・・今の私では測り知ることが出来ない。
そこで―――私は、異分子が出てくる前に、コトを起こそうと思う。
婀:コトを起こす? それはよもや―――・・・
ミ:生来、気の長いお方・・・だとは思っていましたが、ようやくにしてその気になることが出来ましたか。
私としては、私が作った国や団体を意のままに出来ていた頃にして欲しかったモノだが・・・
今はそのことを申し述べても仕方のないことだ。
よろしい、そこまで決意して頂けたのなら、私の処はこの私が何とかいたしましょう。
〔その時婀陀那は、我が耳を疑いました。
それもそのはず、今ここでアヱカが述べたことは、先頃の決定を覆させるかのようなことだったのですから。
それに第一、今回の停戦を強く望んでいたのは、あまり諍いを好まず・・・平和を愛する、
女皇アヱカ―――いや、古代の仁君である女禍であるはず・・・だったのに?
だから、今ここでアヱカが口にした―――「コトを起こす」・・・
つまり、カルマとの最終戦を起こす決意を述べたことに、違和を感じ取ってしまったのです。
けれども、女皇からの申し出を、かなり事前に受けていたと思われるミトラからは、
非難が自分の盟友に及ぶ前に、善処をする意思を表明したのです。〕