≪三節;ミトラ経緯を知る≫
〔ところが・・・今一つ納得できなかった婀陀那は―――〕
婀:ま―――待ってくだされ、姫君・・・お気を確かに。
カルマとの停戦は、姫君が強くお望みしたこと・・・だからこそ、妾達もその意向に従ったのです。
ですが―――事の発起人である姫君自らが、そのようなことを申されましては・・・
ミ:早まるな―――なにも私の盟友自らが、そのこと自体を起こそうと云うのではない。
偶々表現上でそうなってしまっただけの話だ。
それに、考えても見るがいい、和議を結んだとは云え、争い従えさせるしか知恵の働かぬ蛮族どもが、このまま大人しく手を拱(こまね)いていると思うのか。
私が予測するに、あの者達は例の二大要塞を起動させ、初戦から攻勢に出てくるだろう。
ア:ウフフ・・・そのために、あの子たちを再び呼び寄せたんだからね。
ミ:ほほう―――ヱリヤとエルム・・・あの二人は元気ですか。
ア:元気もなにも・・・ね。
それよりも、こちらが想定していなかった非常の事態が起こりつつあるようなんだ。
「ハーヴェリウス」と「奉竜殿」・・・これが何を意味するか、君には判るだろう。
ミ:「マエストロ」と「龍皇」・・・あの二人がどうか―――?
ア:あの二人の魂を封じたモノが、カルマの手に渡っている―――と、云ったら?
ミ:・・・まづいですな。
それが事実ならば、予想を下方修正しなければならなくなる。
ア:それに―――「大公爵」も復活した・・・と、一部の報告ではなされている。
ミ:あいつまでも―――はは、これはまた随分と面白く・・・いや、厄介なことにはなってきているようですなぁ。
〔その場は、奇しくも一国の実権を握る者同士の、非公式の会談の席となっていました。
そして婀陀那は、望まずともこの二者会談の証人ともなっていたのです。
そうこうしているうちに、非公式かつ秘密裏に交わされた約条を携え、
アヱカと婀陀那は緒麗美耶達と合流し、パライソ国へと戻ったのでした。〕