≪三節;タケルの発言≫

 

 

〔けれど・・・あらゆる難癖を考慮し、簡単には享受できない―――と、していたタケルではありましたが。

 

女皇はそのことをどこから知ったのか・・・カインがその書状でも認(したた)めていたことを曝け出すに至り、

タケルに、これ以上断る理由を述べさせる機会を与えさせなかったのです。〕

 

 

タ:フッ・・・フッフッフッ・・・カイン殿も、中々味な真似をしてくれる。

  参りました―――女禍様、ワシの完敗です。

 

エ:・・・・え・え・え〜〜っ?!

ヱ:な―――なぜ、そのことを・・・

 

婀:やはりお二方も・・・存じていらっしゃったのですか。

  それにしてもあなた―――あの時、なぜ・・・

タ:云わなかったか・・・あの時にそのことを他の者に言いふらせたりして、何の得があるのだ。

  それに、ワシはアヱカ様の従者でもあるのだ。

  真の主君に仕える者は、その方のことをよく知らないといけないし、またその方のことを疑ってもいけない・・・

  真の主従の間には、秘事などあってはならぬのだ。

 

 

〔タケルは、アヱカが「女禍の魂を受け継ぐ者」ではなく、女禍様自身ではないか―――と、云う疑念を常々抱いていました。

そして、今回のことでその疑念は一気に確信へと変わり、主君の真実の姿を知ったとしても、あまり驚かずにいれたのです。

 

つまりそこには、アヱカが女禍様自身であることを知る者達が集まっていたわけであり、

これから、また一つの時代の山場を越えようとしている者達でもあったわけなのです。

 

ともあれ、政務・軍務においての最上の位を与えられたタケルは・・・〕

 

 

タ:アヱカ様の描かれている構想―――その中には、勿論二大要塞の起動もその範疇に・・・でしょうな。

 

ア:うん・・・あの砦は中々に厄介だ。

  私が皇として国を治めていた頃に起こした戦でも、終には陥落することはなかった・・・

  ただ、そう云う記述がなされているのは、かの要塞を護る守将が引き揚げた隙に・・・だから、悪く云ってしまえば空き巣のようなものだよね。

 

エ:だ・・・だってえ〜〜ズルイって云われても、そんなのしか手がなかったんだしぃ〜〜・・・

ヱ:あの時ほど―――自らの未熟さを痛感したことはなかった。

  だが・・・今回ばかりはそう云うわけにはいかない。

  このヱリヤ―――帝國の鑓としての沽券に恥じぬ働きを、御覧に入れよう。

 

エ:そう云う私だって! お前サマに負けない働きをするんだかんね!

 

ア:アハハハ―――いいなぁ、お前たちは、いつも元気で・・・。

  私も、お前たちの元気を糧に、今度こそ大事を為せそうだよ。

 

 

〔早速、今回アヱカに相談をしようとしていた内容を述べるに至り、彼もまた北方のカルマのことを憂慮していたことが判ったのです。

そして、その一つの原因として、彼自身が飼ってる『禽』達からの報告により、過去にも使われた難攻不落の大要塞二つが起動の準備に入っていることを知った・・・

しかも、その二つの要塞を陥落すことが容易ではないことを、当時の皇と将二人から聞かされた・・・

 

「ジュデッカ」と「マディアノ」・・・この二つの要塞は、いづれもカルマの魔都コキュートスへの要所に配置されており、

ここを抜けることが出来ないのならば、まづコキュートス攻略はあり得ない・・・と、までされていたほどなのです。

 

けれどもここへきて―――そう、女皇たるアヱカ自らが、カルマとの最終戦を決断をしたと云うことは、

敵側のそういった事情も考慮した上での英断―――・・・もはや避けて通ることはできない事柄であるとし、

そういった事前の承諾を、以前にも難癖をつけてきた国家の創始者と会ってきたことで取り付けてきた・・・

 

もう何も迷うことはない・・・出来れば、今回の件で終わりにさせたい・・・。

 

それが今回、アヱカが―――女禍様が―――描いていた構想の根本にあったことは、云うまでもなかったことでしょう。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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