≪四節;カルマの挙動≫
〔その一方で―――パライソ国内の動きを知る処となっていたカルマ国では、この期に一気に決着をつけるべきとの意見が噴出していました。
その内でも取り分け、七魔将の一角を担うベリアスなどは・・・〕
べ:これから先二年間は、奴らは戦を仕掛けてこないばかりか、我らの侵攻戦でさえも反応しないんだとさ。
こいつは願ってもない機会―――だと思うんだがなぁ。
ビ:確かに―――そこは卿の云う事も一理あると思う。
だが・・・諸卿らの耳にも入っているとは思うが、この度彼の国の丞相に就任した者のことだ。
ア:丞相・・・
ジ:・・・なにか―――?
ア:ナニ・・・そう云えば、遠い昔にそう呼ばれておった女がいた―――と、思ってな・・・。
ジ:はっきりしたことを・・・云ったらどうなの―――
そんな遠い昔に、痛い目を見せた私が憎い―――って。
ビ:止めないか―――二人とも。
畏れ多くも大王閣下の御前であるのだぞ。
〔この度パライソが決めた方針は、瞬くの間に世間に広がり、それが好機の何者ではないと発言したことにより、一気に議論は紛糾したのです。
それに、長い間そう云うお国柄であったからか、今まさに攻め込むべし―――の積極論は根強くあり、ここ最近台頭してきた消極論を抑え込もうとしていたのです。
その消極論の急先鋒である―――七魔将の筆頭ビューネイの口からは、ことを急く心情は判るにしても、
ここ最近敵対国が創設したある官職のことを引き合いに出させ、何とか浮上票を抱き込もうとしたのです。
すると・・・ここで七魔将の一角であるアラケスが、その官職―――以前、遙かな過去には幾度も自分たちに煮え湯を呑ませてきた、
元古代帝國シャクラディア丞相であったジィルガを一瞥したのです。
そんな視線に、反応をしないわけがないジィルガは、まるで焚きつけるかのように挑戦的な言葉を返したのですが・・・
やはりその場を収めたのは、七魔将の筆頭であるビューネイだったのです。
しかし―――奇妙と云えば奇妙でした。
云わば、現在では消極論の急先鋒に成り下がっているとはしても、以前までは七人いた魔将を一つにまとめ、
掌では策を転がしながら、いざと云う時は組織一の武を振るう者・・・
それがどうして、臆病なまでに消極論を唱えるのか・・・
その疑問を晴らすために、以前からの同志であるアラケスは、その話し合いが終わった後にビューネイを呼び止め―――〕
ア:ビューネイ―――ちょっといいか・・・
ビ:―――なにかな。