≪二節;北部総督の不安材利用―――その二≫
〔こうして―――紆余曲折があり、本来収まるべき場所に収まった三様は、
これから自分たちがすべきことに対して、その能力を如何なく発揮しようとするのです。〕
カ:―――さて・・・西部のことを心配するのはそれくらいにしておいて・・・
今、これから私たちがしなければならないことなんだが―――
ギ:―――と、なると・・・やはり当面は、あの二大要塞の一つでもある『マディアノ』のこととなりましょうな。
カ:うん・・・とりあえずは―――だが・・・
ギ:何か気にされていることでも?
カ:ああ・・・たった一つだが―――気にしている処なら、ある・・・。
あなた方二人は、元からのこの国の出身だから、こちらの地方に関しては詳しいと思う。
そこで・・・だ、「北のドルメン」と呼ばれている「ハーヴェリウスのラビリントス」のことはご存じないだろうか。
〔カインが―――二大要塞の一つに数えられているマディアノを攻略する前に、以前から気にはなっていたあることを・・・
そのドルメンから程なく近いところに居住していた二人に尋ねてみたのです。
三大ドルメン―――現在ではパライソの皇城となってしまった「シャクラディア」
旧ラージャとサライの国境近くにある「奉竜殿」
そして・・・遥か北方にあることから、「北のドルメン」と呼ばれている「ハーヴェリウスのラビリントス」
この三つのドルメンのうち、「ハーヴェリウスのラビリントス」について、以前耳にしたことのある噂の真偽の程を確かめたい・・・と、カインは常々思っていました。
しかも、その時カインが耳にした噂も、あまり良い噂ではなく―――
あのドルメンが・・・数ある地下迷宮(ダンジョン)の内でも、難易度が極めて高いと云われているにも拘らず、踏破され・・・
迷宮の最深部に眠っているとされるアーティファクト「ヴァーミリオン」を持ち出されてしまった―――と、云う噂だったのです。
それに、「ハーヴェリウスのラビリントス」も「奉竜殿」も、位置的には皇城である「シャクラディア」の“鬼門”“裏鬼門”に配置されていることを知っていたカインは、
現在のこの混沌とした世の状況を招いてしまったのも、一つには心無き者の所業だったのでは・・・と、思ってもいたのです。〕