≪三節;いざ・・・地下迷宮へ≫
〔その―――あまり良くない噂については、やはりギャラハットも知っていました。
それに、ハーヴェリウスのラビリントスについても、そんなには詳しくないながらも、ある程度のことは知っていたので、そこのところを述べてみると・・・〕
ギ:ハーヴェリウス―――ですか・・・ガルバディアでも、北方に安寧を齎(もたら)せていたのは、あのドルメンがあるからだ・・・とは聞かされては来ましたが、
やはり今の世情となってしまったのにも、一つには―――・・・
カ:うむ、私はあると見ている。
そこで・・・なんだが―――
〔本来、北方などに位置する国家などは、不毛な地ゆえに不安定な情勢が常だったと思われがちだったのですが、
北のドルメンであるハーヴェリウスのラビリントスがあったお陰で、クーナは他国にまで食料を供給できるまでに栄達を極めていたのです。
それが・・・そんな事件があってからと云うものは、過去にもその悪名をして世に轟かせていたカルマが復活を果たし、
栄華を誇っていたクーナも、やがては吸収されてしまった・・・
そんな―――世の中が暗黒に染まりゆく原因の一つがそこにあるとし、
二大要塞の攻略の前に、どうしても原因の解明をしておく必要性があるものと思っていたカインは、
自分の仲間であるギャラハット父娘を伴って、急遽ハーヴェリウス行きを決意したのです。
―――とは云え・・・地下迷宮の内でも、難易度が最高を誇ると知られているだけに、並大抵の苦難では済まされないだろう―――と、そう思っていたら、
やはり踏破された形跡があるからか、容易に最深部―――つまり、件(くだん)のアーティファクトが安置されていた場所に辿りつけたのです。
この異状を、異状と認めないわけにはいかなかった賢人は、すぐにでも対応策を講じなければならないのですが・・・
やはり要と思えるのは、アーティファクト「ヴァーミリオン」並みの宝珠がないことには始まらないと思い、
けれども原因の解明はできたとして、すぐさまハルナに踵を返したのです。〕