≪二節;判り始めた想い≫
〔それに、云われてみれば自分達の手で討ち取られて逝った、過去の魔将達の所作が・・・どこか芝居がかったようにも見えた―――
そのことを、真実を時の丞相であった「ジィルガ=エスペラント=デルフィーネ」により聞かされ、
一時(いっとき)でも宿敵を討てたことに、小躍りして喜んだ自分達を恥じたモノだったのです。
彼奴ら如きの、三文芝居も見抜けられないなんて―――
そして刻は巡り・・・七万年後の今日(こんにち)―――今度こそは芝居を仕掛ける暇もなく、滅刹させる必要があると感じた「双壁」の二人は、
この時ばかりは―――と、協力体制をとったのです。
しかしそのことに紫苑は異を論(とな)えるのですが、次なるヱリヤの一言が彼女の・・・いや、彼女「達」の並みならぬ決意のほどを伺わせたのです。〕
ヱ:君達の・・・出番はここまでだ―――後は私たちに任せてもらって構わない。
ノ:しかし・・・エリヤ様―――エルム様達だけでは!
ヱ:ノブシゲ殿・・・お気持ちは有り難いが―――君たちはこれからの、平和な世にはなくてはならない存在だ。
そんな大切な者達を・・・どうしてこんな下らない事で失わなければならないのか―――
〔その猛将の一言は、どこか自分達人間を擁護しているようにも聞こえたモノでした。
しかし―――そのことに一番驚いていたのは・・・実は、発言をしたヱリヤ自身だったのです。
この大陸を統一させる決戦を・・・「下らない事」だと云った―――
そう云えば、あの方・・・女禍様も、よくそんなことを仰っていたモノだった―――
嗚呼・・・そうなんだ―――
だから・・・なんだ―――
今一番好意を寄せている異性から、心配をされている言葉を貰った・・・
そんなときに、矢も盾もたまらず口から出た言葉―――
あの当時、女禍様が誰に対して仰っていたのか―――・・・
今にして、ようやく判った気がしてきた・・・
そうなんだ・・・今私は、彼のことを愛しいと思っている―――
だからこそ、この身に代えても次代を紡いで征(い)く彼らを生かさなければならない・・・
そう思うと、不思議と全身に力が漲(みなぎ)ってくる感じがしたのです。〕