<第百三十九章;Thewomen from HELL>
≪一節;死闘の始まり≫
〔自分達を攻撃してくる手段が整うまでは―――と、云うことで、「双壁」達の突撃は間断なく繰り返されて征きました。
その一方で、カルマの陣営内部では、これまでにない事態が進行しつつあったのです。〕
ア:なあ―――・・・スターシアよ、お互いこんな狭い処で殺(や)りあうのは本望ではないはずだ。
そこで提案なんだが・・・ここの地下には、オレ達の退屈しのぎに―――と、闘技場(コロシアム)を造らせていてな・・・。
ス:フッ―――なるほど・・・下衆な輩が考えそうなことだ。
だが、よかろう―――そこをお前の墓場にしてやる。
〔元々が敵同士で、それがなんの拍子で味方同士になってしまったのか・・・
けれども最早そこでは、そうではありませんでした。
やはりどんなになろうとも、敵は敵・・・
それ以前に、築き上げてきた捻じれた関係は、どんなに修復・・・取り繕い誤魔化そうとも、隠しきれるモノではなかったのです。
それに・・・いや、だからなのか―――
アラケスの方も、何かに気付き始めたようでした。〕
ア:殺(や)り合う前に聞いておきたいことがある・・・。
お前・・・いや、お前「達」は、望んでオレ達に服しているわけではなさそうだな。
ス:―――・・・。
ア:フ・フ・フ―――答えたくなくば答えずともよい。
お前を殺し―――デルフィーネにお前の馘を投げつけてやれば判ることだ。
〔今の、自らの質問に無言で応答(こた)えた「龍皇」の反応(リアクション)を見て、自分が疑問としていたことに確信を覚えるアラケス・・・
そう―――今一つ納得しきれなかった彼は、スターシア達の一連の行動を見て、
もしかすると彼女達は、自分達を欺くために偽りの服従をしているのではないか・・・と、拝察したのです。
そのことに勿論、スターシアは応答(こた)えはしませんでしたが。
ならば・・・と、云うことで、もう一人の「疑惑の人」―――黒き宰相であるジィルガに、仲間の惨たらしい死を見せつければ、
彼女の謀略が無駄に終わったと云うことを示すことが出来る・・・と、思ったのです。〕
だ・が?
ス:フ・・・フフフ―――目出度(めでた)い奴だ。
この私が、お前との宿縁を断ち切る為だけに、ここにいるとでも思っていたのか・・・。
クハハハ!これはとんだお笑いだ!!
だが、そう思っていたいならそう思っていろ。
ただ私は―――私自身の崇高な使命をして、ここに佇んでいるだけ・・・それ以外の何物でもない。
まあ・・・云わばお前は、モノのついでにすぎない―――と、云ったところだ。
〔「龍皇」スターシアは、アラケスの言葉など全く意に介していませんでした。
既に生命尽きた彼女が、どう云う風に蘇り―――かつての主に弓引く行為に出たのか・・・
いや―――そも、スターシアの行為とは、むしろそう云うことではなく・・・
だ・・・と、したら―――?
また新たな疑問が浮上しながらも、互いの武器―――
“光耀の神槍”グリマー・ロンギヌス「スプートニク」と・・・
かつての神聖性はいずこに、長年負の感情を持つ者によって捻じ曲げられてしまった属性は最早戻ることはなく、
結果“奈落の魔槍”に堕ちてしまったアビス・グングニル「ベルクラント」・・・
その二つが、百万年の時空を超えた現在―――
また・・・再び・・・ぶつかりあおうとしていたのです。〕