≪二節;致命≫
〔互いが修めた武の練度と技の数々は、かつて渡り合ったことのある百万年前とは比べ物にならないほど発達していました。
幾度も―――薄皮を掠める相手の穂先・・・
その槍も、虚しく空を切ったかと思うと次なる刺突が待ち構えている―――・・・
お互いに決定的なまでのダメージを負わせられないながらも、着実にダメージと云うモノは蓄積させられていたものでした。
そして、そのダメージは意外ながらも―――・・・〕
ス:(捉えた!)そこだ―――喰らえ!
=ブルーティッシュ・ボルト=
〔相手の細微な隙を見つけ、ここぞ―――と、云わんばかりに奥義を繰り出したスターシア。
しかし、その槍の穂先は―――・・・〕
ス:(な・・・何?! 外した? この私が―――)
〔またしても、空を虚しく切ってしまったラゼッタの「スプートニク」・・・
狙えばこれ、外すことはないとまで云われた『追従せし者』が、この瞬間的を外してしまったのは、なぜ―――・・・
そんなスターシアの動揺を知るが如く、アラケスはこう吠えるのでした。〕
ア:クハハハ―――どうしたスターシア、狙いでも外れたか?
ス:なに? お前―――・・・
ア:フフフ・・・オレもお前も、互いに奥義を極めた者同士―――しかも同様に「見切り」も多く修得している・・・。
そんな者同士が闘ったところで、決定打などそう打てるものではない。
だからこそ―――だ、オレは意識的にお前から徐々に視界を奪うことに専念したのだ。
〔互いに技を極め、また見切りも数多く習得しているとあれば、最早奥義は何の意味も持ちませんでした。
だからこの死闘は、純粋な「力」と「力」の激突―――
しかもアラケスはこの時、意識的にスターシアの視界を殺ぐ攻撃を織り交ぜ、技を繰り出していたのです。
だから、決着を焦るあまり・・・技を出してしまったことで体が泳ぐ―――つまり「技を出した直後の硬直」により、立ち往生してしまったスターシアは最早「風前の灯火」・・・〕
ア:クフフフ・・・どうやら勝負を焦ってしまったようだなぁ?スターシア・・・
所詮、闘いにこの身を委(ゆだ)ねていた年季の違いと云うモノだ、悪く思わんことだ。
それに・・・苦しませて―――と、云うのはオレの趣味ではない、速やかに殺してくれるわ!!
=デス・ぺラード=
〔そして今―――スターシアの刻の鼓動を止めるため、魔槍と化したベルクラントに、思いの丈を込め止めの一撃を繰り出そうとするアラケス。
しかし―――?〕
ア:―――ぬっ?? なっ・・・ど、どうしたと云うことなのだ、あ・・・足が―――? 足が云う事を利かん・・・?!
ス:・・・フッ―――どうやら私より勝負を焦っていたのは、お前の方だったようだな、アラケス。
最期に一つだけ為になることを教えておいてやる。
私たちのように、槍を扱う者に一番大切なのはなんだと思う?
技の正確性・・・フフフ―――違うだろう。
そんな理屈は、所詮力莫き者の戯言にすぎない。
要は・・・一番大切なのは、突進のための踏み込みなのだ―――!!
大地を確実に捉え、力強く踏み込んだ時に―――破壊力は飛躍的に増す・・・
お前が私から視界を奪っていったように、私は創術の要である脚力を奪っていたのだ!!
〔止めの一撃―――これで二人の間の宿縁は終(つい)えるはずでした。
けれど、アラケスがスターシアから視界を奪っていたのと同様に、スターシアはアラケスから脚力を奪っていたのです。
しかもその症状は殊の外重く、最早自分の思うがままに動けないまでに弱らされていたのです。
そのことにアラケスは、悪態を吐くことや悔しがるしかなく―――・・・〕
ア:・・・っく! おのれ―――おのれ おのれ おのれ!
お前のような小娘にオレ様が殺(と)られるだと?? ふざけるな!!
こんなのは間違いだ・・・あってはならぬことだ!!
ス:見苦しいぞ・・・アラケス。
前(さき)に地獄で待っていろ―――
〜ディヴァイン・ストライク〜
=トニトルス=