≪二節;信奉者≫
ア:どうも、お待たせをいたしました―――・・・
セ:では、参りましょうか。
ア:はい、それで・・・あの、どちらへ―――?
セ:それは、まぁ・・・道すがらお話しする事として・・・・
ところでアヱカ様は、あのドルメンへ行かれてどのようなことを感じなさいましたか?
ア:はぁ・・・そうですね、古えの歴史が垣間見れて・・・学術資料的にも、これから遺していくべき―――と、そう思います。
〔ナゼ・・・今、その総てを知りえていながら、アヱカはこのようなことを申し述べていたのでしょうか。
そのわけは―――今より数分前に、アヱカとキリエ・・・そしてコみゅ・乃亜達が、自分達の宿の泊まり部屋で・・・〕
キ:あの・・・アヱカ様、呉々も申しておきますが・・・・
ア:はぁ・・・・なんでしょう??
キ:(な・・・「なんでしょう?」じゃあ―――・・・)
コ:大丈夫かなァ・・・・
乃:しんぱい・・・とてもしんぱいでち
ア:え???
女:<つまりだね、多分これからあのセキという人物から、色々な事を聞かれたりするだろうけど・・・
肝心なところはぼかせるように・・・と、いうことなんだよ。>
ア:えっ?どうしてなのです?
女:<おいおい・・・しっかりしてくれよ?
私達が存在しえていた七万年前の事を、どうして君が知っておく事が出来るんだい?>
ア:それは―――先程、皇城・シャクラディアで・・・・
女:<そこだよ―――>
ア:え?
女:<今の人達は―――と、いうより、アヱカもあそこが・・・かつて私達が居住していた『城』だった・・・
と、知るまでは、普通に『古代遺跡』としか認識していなかっただろう?>
ア:はい・・・。
女:<それに、現在ではあそこの存在意義が二分されていてね・・・
「昔、何かの儀式を執り行う神殿」だとか・・・あるいは、「交易の盛んだった商業都市の一部」だとしか、認識はされていなかったんだ。
だけども、皆誰一人として、「城」と認識する者はいなかった・・・そこを君が『古の皇城に行ってまいりました』なんて言って御覧?
その途端に、手付かずだったところまでも、盗掘などで荒らされていく可能性が出てくるんだ。>
ア:そう・・・だったのですか・・・。
キ:それに―――私達の事も、気を付けていただかないと・・・
ア:・・・そうでしたね、そういえば、コみゅちゃんは夜ノ街で一度―――
コ:・・・・・はい。
女:<さてと―――そうと分かったのなら、早速行くとしよう。
待ち人を待たせ過ぎるのは、礼儀に反する事だから・・・ね。>
〔そう―――セキに対しても、実に空々しいまでの応答をしたのには、事前に言われていた事だったのです。
ですが―――〕
セ:ふう・・・む、そうですか――――いや・・・実(まこと)に残念な事だ。
ア:は??
女:<ぅん?>
セ:あなた様だけは・・・また違った見解をお持ちだ―――そう信じていましたのに。
ア:な、なんでしょう・・・それは、どういった意味合いで申していらしているので?
女:<もしや―――この人物・・・>
セ:はは―――いや、なんでもありませんよ・・・いけませんなぁ、年を摂るとどうも独り言が多くなってかなわない・・・・
女:<やはり―――! すまない、アヱカ・・・至急この私に代わってくれ―――!>
ア:<え・・・あ、は、はい。>
ア:・・・・お待ちいただきたい、セキ殿―――
セ:・・・・・。
ア:ひょっとすると、セキ殿は・・・・あそこが、「古代の城塞」なのでは――――と、お思いなのでは?
セ:・・・・ハッハッハッハ―――― まさか・・・
そう聞こえましたなら、誤解を与えた事をお詫び申し上げる。
ア:いえ・・・・ここで余さず語っていただきましょう―――
そなた・・・よもや「女禍」と申す者の・・・『信奉者』――――なのでは?
セ:(む・・・・・ぅ)
ア:それに―――数百年に一人の割合で、『その方の魂』を奉ずる者が輩出していたようだが・・・・
そういえば―――ここ最近では、14年前にお一人・・・・
セ:フ――――フフフ・・・・どうやら、いらざる事を申して、誤解を招いたようですな・・・
どうかそこのところは、さらりと聞き流して――――
ア:そのようなわけにはいかない―――さぁ・・・その心情の内を吐露していただこう。
セ:フ・・・そうか・・・バレてしまったのではいた仕方がない。
然様―――私はウェオブリにある、遺された文献によって、その方のやりように甚(いた)く関心を抱いた者・・・。
そして、あなた様の申すように、数百年に一人現れるか―――現れないか―――の、逸材を追い求めし者なのでございますよ・・・。
私も―――この国に務めて早、50と有余年、「西方の雄」ラージャにその方が現れり―――と識った時には、
職務を投げてでも、飛んで行きたかったものだが―――
ア:その願いは―――叶わず・・・ですか。
セ:はい・・・その方の訃報がなされた時には、実に残念なものでありました・・・。
ア:それでは―――セキ殿は、今一度「そのお方」が現れはしないものか・・・と?
セ:フ・・・それは無理というものでしょう―――云われの通りなら、またこれから百年は最低待たないと・・・
ア:フフ・・・いえ―――もう現れている・・・・かもしれませんよ。
セ:は??今、なんとおっしゃって――――
ア:それより―――先を急ぐとしましょう・・・
〔それは、端から見ると少し奇妙な会話でした。
それというのも、あのドルメンを、「古代の帝国の城」と説く者は誰一人としておらず―――
とはいえ、今のセキを見てのように、そうではないことが分かったのです。
―――と、いうことは・・・そう、その考え方が余りに突飛に過ぎているために、それだと説く者は相手にされなかった・・・
つまりは干されていた状態だったのです。
でも・・・今のセキのように、根強い『信奉者』は、やはりあのドルメンがそうではないか―――そうであって欲しい―――
と、願って止まないところのようであり、今回あそこをたずねたアヱカに、敢えてその質問を投げかけてみたのです。
それが―――・・・初めは躱(かわ)しておこうとしたものの、本当の女禍様がお相手をすることにより、
まづはこの人物なら安心―――と、思ったのか・・・ほんの少しを吐露しておいたのです。〕