≪二節;元帥、大宴会を催す≫
〔とは云え、こうして最終防衛線の片翼は折られました。
では、もう一つの難攻不落の要塞―――マディアノは・・・?
この要塞も、歴史に詳しい者にしてみれば、過去に古代帝国がどんなに攻めあぐねたのかを知っているのでした。
だから諦めの雰囲気が蔓延しているのかと思えば―――・・・〕
タ:さて―――あすからは愈々もって、本格的にマディアノを攻略することになろうかと思う。
その景気づけと云っては何だが、皆には英気を養ってもらうため酒宴を用意した。
明日からのことは明日考えれば良い―――今はそのことを忘れて盛大に盛り上がってくれ!
〔以外と話しの判ってくれる人物―――この度元帥に昇格し、政治の上でも最も影響力を与える丞相に就いたタケルを、諸将はそのように理解しました。
ですが―――博識のある者達にしてみれば、明日は一大決戦になろうかと云うものなのに、宴会を催している場合なのか・・・と、つい思いたくもなるのです。
そうでなくても、真面目一辺倒で知られる「月の宿将」―――リリア=クレシェント=メリアドールは、意を決し・・・毅然とした態度でタケルに詰め寄ったのです。〕
リ:元帥様―――何をお考えになられていらっしゃるのです!
明日、カルマと雌雄を決する戦を起こそうと云う時に・・・策の準備は大丈夫なのですか?!
タ:ハハハ―――リリア殿、なにもそう焦ることはありません。
人間、為る時には成るようにしかならないモノなのです。
明日の決戦で、死ぬるもまた人生―――生くるも、また人生―――
その時が来ようとも、悔いは残しておきたくはないものなのです。
〔しかし・・・そう云われたところでリリアの不安は拭いされようはずもありませんでした。
かと云って、上官にそれ以上咬み付くわけにもいかず・・・愉しかろう宴会の席では、仏頂面をしたリリアの姿があったりもしたモノだったのです。〕