≪三節;元帥、北部総督と策を語らい合う≫
〔そんな折、宴も酣(たけなわ)となろうとしたところで・・・マディアノを攻略するための、東側勢力の本陣となっているハルモニカ城に、遅参してきた将がいたのです。
そう・・・「北」の国より―――〕
カ:そこの隣り・・・よろしいかな―――
タ:ようやくお着きになられましたか―――お待ちしておりましたぞ。
〔北部総督・カイン=ステラ=ティンジェル―――丞相・タケルも認める、パライソのもう一人の知者が、
頃合いを見計らったかのように、タケルの隣席に収まったのです。
それにしても―――彼の副官である二人・・・ギャラハットとヒヅメは?〕
カ:よろしいものですかなぁ―――こんなにも呑気にしていて・・・
タ:そう云う、そちらの副官殿二人の姿が見えぬようですが―――・・・
カ:それはそちらでも同じことでしょう―――お宅の手駒である「禽」の気配すら感じられぬが・・・?
タ:フッ・・・あの者たちには先に潜行をしてもらっている。
恐らく・・・そちらのヒヅメ殿も同行しているのではないですかな。
〔水面の上では優雅にしていても、その下では絶え間なく足を動かしている・・・まるで水鳥のように、
智謀に長けた二人は、既に要塞攻略のための手段を発動させていたのです。
それが―――タケルの「禽」と、カインの副官・・・ヒヅメとの協合作業。
それに、カインのもう一人の副官であるギャラハットも、新たなる侵入経路「閑谷道」を要塞の北側に築き、急襲する機会を窺っていたのです。
そう・・・詰まる話し、マディアノ攻略は静かに事を運ばれていたのです。
今も・・・要塞内部に侵入を果たし、要塞内にいるカルマ兵に扮しながら、
攻略に必要な情報等々―――いざと云う時の人心操作も並行して行われていたのです。〕