<第百四十二章;魔星滅び逝く秋(とき)>
≪一節;崩落していくモノ≫
〔自分達の遥か後方―――本陣のある場所から、一条の光が流れて行きました。
そしてその光が、鉄壁の防御を誇るマディアノの鉄扉に着弾するや、膨大な熱量と爆風を伴い、扉になんらかの作用を来たそうとしていたのです。
やがて・・・爆風によって巻き上げられた砂塵が収まり、丁度前線にいた雪月花の三将が目にしたモノとは・・・〕
リ:うわ・・・すご・・・
セ:でも、完全には―――
イ:(しかし・・・それにしても今のは?
攻城兵器は、先ほどのカルマからの反撃によって、総てが使えなくなったと云いますのに・・・)
ですが―――きっかけは出来ました、衝車隊前へ―――!
〔あれだけ・・・投石機により幾度となく試みてはみたものの、傷一つさえつけることなど敵わなかった鉄扉が―――
たった一発の砲撃により、破壊・・・とまでは行かないながらも、その形は以前とはまったく違わせてしまっていたのです。
その異常なまでの熱量によって、未だ冷め上がらぬ―――紅く灼けた鉄の扉・・・
その異常なまでの質量によって、折し曲げられた―――ネオ・ジュラルミンの扉・・・
最早、鉄壁の防御と硬度を誇る扉の存在は、そこにはなかったのです。
そしてイセリアの号令により、衝車を出動させ・・・用を足さなくなった扉を破壊すると、そこから一気に要塞制圧の手順は進められていったのです。〕