<第百四十三章;大尉の疑問>

 

≪一節;滅びの秋(とき)

 

 

〔自分が忠誠を誓った国家―――「カルマ」は既に国家としての体(てい)をなしていない・・・いわゆる「滅び」ているのだと云う。

そんなはずはない―――と、魔将の一人は思うのですが・・・

 

かつて、あれだけ「最強」の二文字が相応しい者達はいないとされていた、七人もの魔将・・・「七魔将」―――

しかしそれが、一人減り―――二人減り―――今や残されていたのは、自分と「三傑」の一人だと云われた・・・

いや、それ以前に、七魔将を束ねる「魔皇」と、七魔将の内でも第一の実力者である「筆頭」が、

早い時期にいなくなっているのだとすれば、現在コキュートスにいる二つの存在は・・・一体何者?

 

けれどその疑問は、ベリウスの内で解決されることなく終わってしまうのです。〕

 

 

ジ:いずれにしても、お姉さまの計画は終わりに近付いているわ。

  だから、あなた達は不必要―――ゴミ以下の存在になってしまったのよ。

  じゃあね〜♪

 

――=裏面漆阡捌佰廿蔘式;セラフィック・ロゥサイト=――

 

〔圧倒的な実力差―――もし、これ程の実力の持ち主が前線で闘ったなら、前後には「敵」と云うものは存在しなかったでしょう。

ではなぜ、マエストロがそうしなかったのか―――・・・

正確には、「出来なかった」のです。

 

その理由を明らかにするには、少々込み入った事情と云うモノがあり、それほど容易(たやす)くはなかったのですが、

端的に述べるとすれば―――・・・

マエストロには、現在地球で就いている役職の他にも、ある職務に就いていた・・・

しかも、どうやらこちらの「もう一つ」の職務が、彼女の―――いや、もう少し言及するならば、彼女「達」の本来の職務であった・・・

その彼女達の帯びていた職務規定の内には、「当惑星内で生じたトラブルは、原則として当惑星の住民間で解決を促せて行くように導いていくこと。」

 

その規定が、地球上のどこの国家に属し、またどこの組織に属しているかは別として―――

ガルバディア大陸も、ようやく一つの意思の下にまとまりかけている・・・

そんな時、ここで自分が戦闘に参加しては、上の・・・幹部連中が黙ってはいないだろう―――

だから、今の今までサポート役に徹してきたのです。

 

けれど・・・今のジィルガは、そんなことは関係ない―――と、ばかりに、べリアスに対し攻撃呪文を放ってこれを倒したのです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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