≪二節;「けじめ」のつけ方≫
〔だから、これでお解り頂けただろうか―――
サウロンが、「女性」になる余地など、どこにもないことを。
それでは・・・サウロンの漆黒の鎧を纏う者―――とは・・・誰?
するとその人物は、鎧の兜をゆっくりと外し・・・〕
ガ:・・・ぷっはぁ〜〜―――息苦しいったらありゃしないね。
不出来な弟子の真似をする〜〜っつうのも、楽じゃないよ・・・。
〔漆黒の鎧の兜をゆっくりと外した時、顔を覗かせたのは紛れもなく「女性」―――でした。
それも、熾緋色の髪をした女性・・・
そしてこの女性のことを、そこにいた三人は、畏敬の念を込めて・・・こう呼んだのです。〕
ジ:ガラティアお姉さま―――今、「けじめ」・・・と、仰いましたが・・・。
ス:我々に、「もう一度死ね」―――と、こう仰るのですか・・・リッチー・ガラティア。
べ:ですが龍皇様、そうすることでこの大陸は、統一の途(みち)を早めて行くことになるのです。
〔「ガラティア」・・・ガラティア=ヤドランカ=イグレイシャス―――
この世に、たった一人存在する・・・「死せる賢者(リッチー)」―――
そして、ジィルガと女禍の、一番上の姉・・・
ここでようやく、今まで隠された部分が明らかとなるのです。
そう・・・これまでの出来事は、総てガラティアのち密な計画―――監理によって行われていた・・・
アヱカの故国である「テラ」が滅んだのも―――
フ国が衰退し、新たなる国主にアヱカが収まったのも―――
周辺の国々で不可解な事象が発生し、アヱカの下に多くの人が集まったのも―――
総て、ガラティアの範疇の内で、行われていたに過ぎなかったのです。
しかし・・・こう云う記述の仕方をすると、ガラティアが血も涙もない冷血な人物のようになってしまうので、敢えて捕捉をさせてもらうと・・・
「大義の前の小義」―――
こんな事例は、広大な宇宙のどこかで、日常茶飯事に行われていることであり、また・・・犠牲なき大事ほど、滑稽且つ道化じみたことはないのです。
それに、そのことを割りきったからこそ、アヱカも統一戦を興し―――これから犠牲になって逝く家族の者達に詫びたのです。
とは云え・・・これからが正念場―――
彼ら自身がしたことの「けじめ」をつける為、最期の策が授けられたのです。〕
ガ:さて―――と・・・
云われなくても判ってるだろ〜けども、抜かるんじゃないよ―――あんたたち。
ジ:ふう〜〜・・・そうは簡単に仰いますけどもね・・・実際云うほど簡単じゃござんせんのことよ?
ス:全くです・・・とは云え、「最後の奥義」を授けるのに、手加減をするなどもつてのほかだ。
べ:龍皇様―――・・・
ス:心配をするな・・・私の娘は、そんなに軟(やわ)ではないよ―――それは、この私が一番心得ていることだ。
それでは・・・な。
ジ:―――なんだかんだ云って、愛娘のことが一番気がかりなのよね。
それではお姉さま―――後の事は・・・
べ:皆・・・行ってしまわれましたか―――それでは私も、一時(ひととき)の暇乞(いとまご)いを・・・
〔自ら望んで死地へと赴く同志達に・・・ガラティアは敢えて「ありがとう」の感謝の言葉を使いませんでした。
しかし・・・それは・・・もしその言葉を使った時、彼らに対して非常に申し訳ないと感じたから・・・
本当の処は、ガラティアも判ってはいたのです。
いくら「大義の前の小義」とは云え、彼らの矜持を蹂躙(ふみにじ)ることは、「義」そのものではない―――と、云う事を・・・〕