<第百四十六章;血を分けた激闘>
≪一節;目覚めた存在≫
〔史上最大の作戦―――コキュートス城攻略戦を前に、ある存在がその深き眠りより目覚めました。〕
―≫ピピッ 充電ガ完了シマシタ≪―
ナ:う・・・うぅ〜ん―――
・・・もう終わっちゃったかな?
〔活動するのに必要なエネルギーを消耗し、休止状態となっていた破壊兵器のエネルギー補充が終わり、再起動をするナオミ・・・
すると、意外に物静かだったので、既に最終戦が終わっているモノと思い、確認をするため諸将が集まっている天幕にお邪魔をしてみれば・・・〕
ナ:しっつれいしまぁ〜・・・
婀:―――ナオミ殿? お主・・・
タ:ナオミ・・・お前、無事だったのか?
ナ:なんだよ〜〜そんな、死人見るような眼で見るな―――っつうの。
云っただろ? 私は生き物ですらないんだって・・・。
私に内蔵されている「ノヴァ・ハーツ」で生産されるエネルギーが充填されれば、また再起動できるんだって。
・・・あれ?これって云ってなかったっけ?
〔あれだけ自分達を心配させたのに、当のご本人はそんな事があったのかさえ忘れさせるほど元気に振舞っていたのです。
それに、自分に関する説明を、あの時はタケルや婀娜那だけに話したのに対し、今回は集まっている諸将達の前で公表してしまったので、
ナオミの事を何一つ知らなかった者達は皆、目を丸くしたのです。
そしてその事を取り繕うのに奔走するタケルと婀娜那は、マディアノ陥落は、ナオミの貢献があったからこそだと、そこで始めて諸将達に云い、
その破壊力の絶大さを目の当たりにしていた「雪月花」の三将や残りの将達は、宛らにして納得をしたのでした。
その運びで―――この度のコキュートス城・城門の破壊を、またもやナオミに一任することにしたタケルは・・・〕
タ:すまんな・・・
ナ:いいって―――
それより、周囲100歩以内には・・・
婀:うむ、承知しております、頼みましたぞ・・・。
〔準備は整った―――
そして、あの時と同じように左手を、城門に差し向けるように構えた―――その時・・・破壊天使はその翼を出現させたのです。〕
イ:(こ・・・これがあの時―――マディアノの扉を破ったとされる・・・)
セ:(なんて凄まじい・・・なのに、ナオミさんはあんなにも華奢な―――)
リ:(けど・・・そのお陰で仮死状態に・・・判らないモノよね―――)
ヱ:(それにしても・・・この技術、以前にどこかで―――)
エ:(見た事がある・・・そうだわ!確かマエストロ様のラボで―――)
〔ナオミの変わり様を、初めて目にする者達は皆、一様にして驚いたものでしたが・・・
約二名ほどは、このナオミの有り様を、過去にどこかで―――・・・
そう・・・自分達の師匠であり上官だった、「マエストロ」と呼ばれていた者の事を思い出していたのです。
そして、その者の研究施設で、現在のナオミとは同じくではないながらも、似たような存在があった事を思い出していたのです。
それにしても・・・時を隔てた今日(こんにち)―――自分達が見た躯体(くたい)から発展した現物を目の当たりにしようとは・・・〕