≪三節;無情の再会≫
〔ともあれ、敵側から解放してもらえるならば、これ程願ってもない機会もなかったため、突入は開始されたのです。
そして間もなく―――西回廊を突き進んでいくと、これと云った障害・・・云うなればカルマの雑兵の待ち伏せなどにも遭うことなく、
やがてはコキュートスを構成するホールの一つに、ヱリヤとエルムとノブシゲは辿りつけたのですが、
けれどそこは、全くと云っていいほど人の気配を感じる事はなく・・・ただ、寂寥たる闇が横たわっているだけなのでした。〕
ノ:ヱリヤ様・・・これは―――
ヱ:しっ・・・静かに―――・・・
〔発する声ですら、呑みこんでしまいそうな・・・重たい闇―――
こんな処でもたついている場合ではない―――と、ノブシゲは思いましたが、
人の気配すら感じないこの場所で・・・二人は確実に、「何か」を感じているのでした。〕
エ:いるね・・・確実に―――
ヱ:ああ―――・・・
〔エルムの言葉に相槌を打つと、ヱリヤは自分に備わっている自己発焔能力(パイロキネシス)で、部屋に掛けられている照明器具に火を灯し、
どうにか視界を確保できるまでになったのでした。
すると・・・いたのです―――
自分達が入ってきたホールの反対側・・・つまり、出口にして―――これから先魔皇のいる部屋に通ずると思われる通路を塞いでいる存在・・・
その姿を―――よく眼を凝らしてみると、やはり・・・〕
ヱ:ママーシャ! やはりあなたなのか!!
ス:―――・・・
ヱ:なぜ・・・なぜなのだ―――!
旧(ふる)くから女禍様に従ってきたあなたが・・・この期に及んで―――
ス:その様子だと、話してはいないようだな・・・上出来―――いい子だ、フロイライン。
ヱ:なに・・・?!
エ:・・・・・・・。
ヱ:シュターデン・・・どうして―――お前??
ス:どこを見ている! 闘争の手ほどきを忘れたのか!
〔なんの前触れ―――合図もなく、スターシアはヱリヤとの間合いを詰め、
ここに本当の血を分けた「母」と「娘」の対決が始められてしまったのです。〕