≪四節;望まぬ対決≫

 

 

〔しかしヱリヤも然る者―――油断し、接近を赦したとはいえ・・・間一髪で躱(かわ)すと、体勢を入れ替えて反撃に移ったのです。〕

 

 

ス:ふむ・・・フフフ―――あの体勢から一撃を入れようとするとは・・・な。

  少しは成長したようだ―――母は、少し嬉しいぞ。

 

 

〔けれどその言葉とは裏腹に、ヱリヤの槍はスターシアに掠る事はありませんでした。

お互いが技を極め、また熟知しているだけに・・・「奥義」は決定打とはならない・・・

(むし)ろ、一瞬でも油断してしまえば、その時が命取りともなるのです。

 

だから多くの・・・そのためだけの技の応酬がなされるのでした。〕

 

 

ヱ:うぉおお―――っ!!

―=カラミティ・ブラスト=―

―=クリムゾン・ノート=―

―=イフリート・キャレス=―

 

ス:フッ―――・・・

―=サンダー・ストラック=―

―=テンペスト=―

―=ブルーティッシュ・ボルト=―

 

ヱ:(流石にやるな・・・だが―――)これではどうだ!

―=アルド・ノヴァ=―

 

ス:フン―――ぬるいわ!!

―=ヴァルス=―

 

 

〔なんとか相手に隙を生じさせようと繰り出されるヱリヤの技の数々を、まるで武芸の手解(てほど)きをするかのように軽くあしらい、

(つい)には、より強力な技を繰り出し、ヱリヤを弾き飛ばしてしまったのです。

 

しかも、ヱリヤのダメージは思ったより大きかったらしく、しばらく立ち上がれないでいたのです。

すると・・・娘の体たらくを見たスターシアは―――〕

 

 

ス:どうした・・・立て! お前の実力とはそれしきのモノなのか!

ヱ:っっ―――く・・・! まだ・・・まだ―――!

 

 

〔未だ闘う気力を失っておらず、立ち上がろうとするヱリヤ―――

しかし、身体とは正直なモノで、既に肩で息をし・・・槍を構えるのでさえもやっとだった―――

最早、気力・精神力でそこに立っているようなモノだったのです。

 

そんな親友の姿を、見るに忍びなくなったエルムがたまらず・・・〕

 

 

エ:お前様ぁ・・・もう・・・もういい―――もういいよ!立たないでおくれ!

 

ヱ:エルム・・・シュターデン―――だが、そう云うわけにもいかない・・・

  私は・・・母を―――カルマに与(くみ)した母を、この手で倒さねばならないのだ!!

 

 

〔ヱリヤのその言葉に、エルムは一瞬躊躇しました・・・

なぜなら―――あの「降雷の夜」の出来事を知っていたから・・・

 

けれど意を決し、敢えて伝えようとしたのです。

決定的・・・とまでは云わないまでも、暫定的にスターシアがこの世に蘇った理由・・・

娘であるヱリヤに、ハイランダーの最終奥義を授けるため、命を賭してこの場に臨んでいる事を―――

 

しかし―――・・・〕

 

 

エ:違うんだよ・・・お前様ぁ―――・・・

  スターシア様も、いいじゃないですか・・・もう十分でしょう?!

 

ス:知った風な口を利くな―――フロイライン!

 

 

〔ヱリヤは・・・不思議と、二人の間になされた会話を聞いて冷静になれました。

やはりこの二人は―――あの夜密かに会っていて・・・何かしらの密約を交わしていた・・・

それも、自分に関わる重要な事を―――

 

それにしてもなぜ・・・その事を自分に秘密にする必要があるのか―――

 

そう思うと、次第にヱリヤの内で、怒りが沸々と湧き上がり―――

それが現時点での、ヱリヤ最強奥義の布石ともなろうとていたのです。〕

 

 

 

 

 

 

 

>>