≪六節;覚(めざめ)醒≫
〔突然云い渡される「死の宣告」―――
自分の『光』の奥義をまともに喰らい、満足に身体を動かせない娘と・・・
そんな娘を庇(かば)い、代わりに闘おうとする無二の親友・・・
それに―――・・・どうやら娘に(が?)、惚れ込んでつい(れ?)てきた・・・「どこぞかの馬の骨」。
そうだ・・・こいつだ―――こいつを使わない手はない。
それでもし、娘が開眼できないようならば、今度こそ本当にお仕舞・・・
そこでスターシアは、最後の賭けに出たのです。〕
ス:最後の機会に・・・良い話をしてやろう―――
私たちハイランダーは、究極技としてそれぞれ『光』と『闇』の奥義を会得しなければならない。
今までのお前との闘争で繰り出された技の数々は『光』に属するモノだった・・・
それに見たところ、お前はまだ『闇』の奥義を会得できておるまい・・・愛しき者でさえ奪うと云う―――業深き技を!!
〔その途端―――スターシアの周囲を、ドス黒い闘気が包み込みました。
それこそが、『闇』の奥義を極めた者の証し・・・
得も言われぬ、不気味な笑みを口元に湛え・・・殺意を露わにした者を前に、ヱリヤは―――・・・〕
ヱ:な―――何を・・・? お止めくださいママーシャ!
あなたの相手は私であって、ノブシゲ殿では・・・
ス:・・・ヤレヤレ、何を云い出すものかと思えば。
初歩の初歩で教えた筈だが? 「見敵必殺」―――と。
よいかヱリヤよ、我々は元を糺(ただ)せば「戦闘種族」―――故に、我々の前に在るのは総て「敵」なのだ!!
ヱ:違う・・・違います―――ノブシゲ殿は・・・シュターデンは違います!!
だから―――だから・・・
ス:駄々を捏(こ)ねるな! 出来損ないめが・・・
そこで、愛する者達が消え逝く様でも眺めているがいい!!
〔もう・・・ダメだ―――
実の母に叱られ、段々と闘気・気力ともに消え失せて行く感覚に陥って行く・・・
けれど、同時にそれとはまた違う別の何か―――
そう云えば・・・過去にも一度、同じような感覚に陥った事があるのを思い出していくヱリヤ。
そうだ・・・そう云えばあの時も―――「もう助からないかもしれない」と云う絶望感が蔓延し、
自分の周囲に蠢く物体を、壊し尽したい―――焼き尽くしたい―――と云う衝動に駈られた事がある・・・
そして、あの時と同様にして、ヱリヤの身体の周囲には―――・・・〕
エ:あ・・・あ―――・・・お、お前・・・サマ・・・
そいつは、ブラッド・フィストの時の―――
〔その現象が起きた時の、唯一の目撃者は・・・ヱリヤ苦戦の報告を耳にして、援軍として馳せ参じたヴァンパイアのエルムのみでした。
そして後の世に、「ブラッド・フィストの惨劇」として知られる戦史の一部でもあったのです。〕