≪六節;探シモノ≫
〔そして、繰り出される強力な技に、十聖剣達は―――・・・〕
ビ:私の渾身を受けるがいい―――!!
―=マリス・グラッヂ=―
〔閃光と共に、強烈な衝撃を受ける8人の勇者たち・・・
たった一撃―――
たった一撃で、8人全員が部屋の隅々まで弾き飛ばされ、身動(みじろ)ぎひとつ出来る者など一人としていませんでした。
そこで知る―――自分達人間と、魔物の将の実力差・・・
この「差」は、努力云々(どりょくうんぬん)でどうにかなるモノではありませんでした。
決定的な差―――だから、誰しもが絶望感に浸ってしまうのです。
そんな雰囲気を、感じ取ったビューネイは・・・〕
ビ:(この内の誰かが持っていると思ったのですが・・・違いましたか。)
残念です―――非常に・・・あなた達はもう少しできると思いましたが、どうやら買い被り過ぎていたようですね。
〔ビューネイは・・・いや、ベェンダーは、この世に想像されてからこの方、何かを探していました。
その「何か」・・・とは、彼の内(なか)でも漠然としていた為、彼本人でも判ってはいなかったのですが・・・
なぜか今回の闘いで見つかりそうな―――そんな予感がしていたのです。
けれど、この組ではない―――と、感じられた・・・
恐らくは、先行させた二人のうちのどちらかなのかもしれない・・・
だとすれば・・・確率的に高いのは、やはり「清廉の騎士」である、あの人物か―――・・・
ならば、マエストロ様と刃を交り合わせる前に、自分が駆けつけなければ・・・
だから、禄に立てない者達など放っておいて、そちらの方に向かう為に踵(きびす)を返したのです。
けれど・・・その行為は、8人の勇者達からしてみれば、屈辱のなにものでもありませんでした。
目の前にいる、敵である自分達を差し置いて・・・この者はどこへ行こうとしているのか―――
いや、それよりも・・・「情けを掛けられた」と云うのは、武人にしてみれば最大の屈辱でもあったのです。
だからなのか、剣を杖代わりにして、どうにか立ち上がろうとする勇者達でしたが・・・〕
リ:ま―――待ちなさいよ・・・私達を目の前にして、どこへ行くと云うの・・・
ビ:・・・無理をするものではありません。
それにあなた達はよく闘いました、健闘―――敢闘です、誰に恥じることもありませんでしょう・・・。
ギ:誰に恥じる―――ってよ・・・云ってくれるじゃねぇか・・・
ミ:その通り・・・誰に恥じるのではなく、今ここで負けたままならば、自分に恥じるのです!
イ:人間を・・・甘く見るのではないわ―――!
セ:私達はまだ・・・一縷の希望を捨ててはいません!
〔傷つきながらも、勇を奮い立たせ立ち上がる聖剣士達。
その者達の眸には、「光」が宿されていました。
けれど・・・今にもその「光」は、儚くも消え入ろうとしていたのです。〕