≪七節;「悲劇」の序曲≫
〔而して―――云いかえれば、残る障害は自分一人のみ・・・
お膳立ては出来た、あとはどんな演出で、この舞台から降りるか・・・
悲劇は―――演出が悲惨なほど、観客への受けがいい・・・
だとするなら、ここはあの手が―――・・・〕
ジ:フフフ・・・あぁら、手間が省けたと云うモノだわ。
なにしろその「失敗作」の処分、どうしようかと思っていたところなんだけど・・・ここにこうして一度に集まってくれるなんて―――
セ:なんですって・・・「失敗作」―――?
紫:一体何の事を・・・
婀:紫苑にセシル殿・・・その方はな、妾たちが持つ九本の聖剣を創られたご本人だそうじゃ。
だが・・・その御本人様が云われるのには、妾たちが持つ九本は「失敗作」―――「鈍(なまくら)」だと仰(おお)せられた・・・
しかし―――やはり妾には得心なりませぬ!
いかに聖剣製作者ご本人の弁(ことば)であろうとも、「聖剣」は「聖剣」にございます!
ジ:思ったより聞き分けのない子ね・・・私はそんな子、大っ嫌いよ!
婀:上等―――! わが剣ジグムントよ・・・今こそそなたに宿りし力、妾の前に指し示せ!!
〔十本の聖剣が相見(あいまみ)えた瞬間でも、ジィルガは平然とし・・・先程婀娜那に語った事を語りました。
けれど、婀娜那は決してその弁(ことば)を真に受けなかった・・・
「聖剣」は「聖剣」である―――間違っても、決して「鈍(なまくら)」などでは有り得ない・・・
その事は、持ち主である自分達本人が、一番よく心得ていることだ―――と・・・
そして、婀娜那の呼び掛けに呼応するかのように、ジグムントは輝き始め・・・
すると―――ジグムントだけではなく、デュランダルもエクスカリバーもイクセリオンも・・・
互いが互いを励ますかのように共鳴し始め、更に輝きを増し始めたのです。
しかも―――この光は・・・〕
ジ:うぅっく・・・ば―――莫迦な・・・わ、私のディストーション・コートが・・・は、剥がされて―――行く!!
〔「聖剣」は、やはりどこまでいっても「聖剣」でした・・・。
須(すべか)らく邪気や魔を払い―――世に安寧を充たせる、聖なる輝き・・・
その波動は、あらゆる効果を捻じ曲げ、歪曲させる特性を持つジィルガの防護壁に纏わりつき、剥がしたのです。
それによって「ヴォイト効果」は無くなったのは良かったのですが―――厄介な事には・・・〕
ジ:お、おのれ〜〜低俗な分際で―――
――=裏面・漆阡捌佰弐拾蔘式;スター・ゲイザー=――
〔見境がなくなり、威力が大きな大魔法を詠唱―――行使し始めたのです。
しかもこの魔法は、天空に連なる星々の力を集約して行使するので、危険極まりなかったのです。
しかし・・・ある者の技によって、その危険性は回避されたのでした。〕