≪二節;魔皇・サウロン≫
〔それもそのはず・・・なんと、魔皇がいる玉座の間には、その部屋の主であるサウロン以外にも、もう一人―――・・・〕
タ:(!!)そん・・・な―――まさか・・・
婀:姫君が・・・なぜここに―――・・・
〔日頃は冷静沈着であるタケルに婀娜那が驚愕した事実―――
それが・・・女皇にしてパライソ国君主である―――アヱカ=ラー=ガラドリエル・・・
その人物が、自分達よりも先んじて、魔皇・サウロンと相対峙していたのです。〕
サ:フ・・・それを知るには、我を斃さぬ以外、他はあるまい・・・
ア:そ・・・そんな―――
〔しかもすでに、彼と彼女との間には、何らかのやり取りが生じていました。
それに、何らかの疑問を抱き、その末にアヱカの方から足を運ばせてきていた・・・そうとも見られなくはなかったのです。
しかし―――アヱカからの疑問に、サウロンは応答(こた)える事はありませんでした。
ただ・・・代わりに―――自分を斃す事が出来たのなら、その疑問に応答(こた)えよう・・・
その方法しかない―――と、云ってきていたのです。
それにしても・・・女皇と魔皇との相対距離は、近くさえありました。
だから―――タケルが主君であるアヱカを護るため、敢えて二人の間に割って入り、
敵の総大将であるサウロンに差し向うようにして、貮漣を構えたのです。
すると・・・玉座に腰を下ろしている、漆黒の甲冑は―――〕
サ:ほう・・・それは―――緋刀貮漣。
タ:いかにも・・・ワシの主に降りかかる禍(わざわい)は、この貮漣が払う!!
サ:―――フッ・・・フッフッフッフ・・・
タ:何が可笑しい。
サ:随分と・・・また・・・一端(いっぱし)の口を利くようになったモノだ―――なあ?坊や・・・
〔まるで・・・まるで親しい者に話しかけるように、サウロンはタケルに語りかけました。
しかしタケルにしてみれば、世を混迷に導こうとする者など知り合いにもいなかったため、返答に窮したものだったのです。
するとそのことを、親友であるノブシゲにからかわれるも―――すぐに否定をするのですが・・・
魔皇はこの期に及んでさえも、自分達の結束―――或いは士気を衰えさせようとしていた・・・
とは云え、最早ここまで来たら決着をつけないわけにはいかないのです。〕
婀:なれば・・・敵はあと総大将を残すのみ―――!
そして、永かった苦しい戦いに、幕を下ろすのじゃ!!
サ:その意気やよし―――よかろう・・・見事我を討ち果たしてみよ!
〔なんと云う自信・・・「最強」の自負があるからこそ、そこまで云えるのだろう・・・
その事は、前(さき)のジィルガ戦でも、厭と云うほど知らしめられてきていたので、
彼らはまた、敢えての一斉攻撃を仕掛けて行ったのです。
―――が・・・〕
サ:クハハハハ―――!
獄焔を纏いし我が斬撃―――喰らうがよい!
――=インサニティ・カプリツィオ=――
〔まさに「最強」―――その自負に、一片の偽りなどありませんでした・・・
十本の聖剣の持ち主の、最高奥義同時発動―――加えて、エルムの武技(アーツ)「潜在能力必殺技」に、ヱリヤ「光の奥義」・・・
けれども、魔皇の前ではその総てが無駄でした。
しかも―――その返し技として、彼方からは爆焔を纏った強烈な斬撃が、彼らを襲ったのです。
その技を、直撃した者はいませんでしたが、衝撃波を受けただけでも多大なダメージを負った者は、少なくはなかったのです。
しかし―――この技の直撃を受けた者がいない・・・と、云うのも、
魔皇にしてみれば、この決戦が児戯のようなモノであり、余興にも満たなかったから・・・とも思えなくもなかったのです。〕