≪四節;斬獲剣グラム≫
〔そう・・・結論付けてしまうのならば―――この闘いは、まだ「終わって」などいないのです。〕
ガ:フフフ―――おやおや・・・ちょいと油断してたらバレちまったようだよ。
それにしても久しぶりだ―――坊や・・・その剣は巧(うま)く使いこなせるようになったかい。
タ:なるほど・・・つまり、今までの事は総てあなたの思惑通り―――だったと云う事ですか。
それにしてもなぜなのです? なぜ―――こんな事をしなければならない理由が・・・?!
〔その質問を相手に投げかけた途端、タケルには判った気がしました。
そうだ・・・その事を訊いていた―――
自分達より先駆けてサウロンと見(まみ)え、自分と同じ事を訊いていた・・・
「古(いにし)えの皇」である女禍が、サウロンに扮していた姉に訊いていたこと―――・・・
「どうしてこんなことをしなければならなかったのか」・・・と、いうことを。
するとガラティアは、その質問には答える気になったモノと見え・・・〕
ガ:「けじめ」―――だよ。
リ:けじめ? なんの―――・・・
ガ:そいつをあんた達に応答(こた)えてやる義務はないね。
今、私が応答(こた)えてやったのは、見事この漆黒の甲冑を割ったからさ。
これも・・・ま―――あいつに出来なかったから、師であるこの私が、代わりにけじめをつけてやった・・・ってところかねぇ。
イ:「あいつ」・・・? あいつとは、魔皇サウロンの事ですか?!
〔イセリアからのその質問にも、全く答える義務はない――――と、云ったように、ガラティアは覇蝕の剣を持ち直すと、全霊を込め始めたのです。
すると・・・魔剣の刀身に罅(ひび)が入り―――しかし、まるで虫や爬虫類が古い皮を脱皮するが如く、新たに露わになってきた刀身こそは・・・
青黒く光る、覇蝕の剣よりも雄々しく巨大な剣―――その名も・・・〕
ア:その剣は・・・もしや―――!
ガ:その通りさ・・・これこそが私自身の剣―――「斬獲剣・グラム」
〔この世に、「最強」の称号に相応しい剣があるとすれば・・・二振り―――
それが、「緋刀貮漣」と「斬獲剣グラム」なのです。
しかもこの二振りは、同じ材質から出来ており、性能的にもほぼ同じ・・・
違いと云えば、刀身が存在するか―――しないか、の、違いだけだったのです。
然しながら、気になるのはその性能―――
一体どんな云われで「最強」の称号が与えられたのか・・・
それは―――・・・〕
ア:あの剣は・・・実在そのものが不確定な「神」でさえも斬り―――そしてまた捕獲する事が出来る・・・
だけど本来の目的は、「裁き」を行うために創られたモノだったんだ・・・。
でも、ある事情で完成の日の目は見なかったと思われていたのに・・・それが―――
ガ:出来ちゃってたんだよね〜〜♪
―――と、云うわけで・・・そろそろおっ始(ぱじ)めようとしようか・・・最期の闘争(けじめ)を・・・!
〔本来ならば、不可視であるはずの高位次元生命体・・・いわゆる「神」でさえも、斬り裂き―――捕獲(とら)えることさえ可能だと云う・・・
「神鉱・ジルコニア」で出来た二振りの「裁きの剣」―――それが「緋刀貮漣」と「斬獲剣グラム」・・・
それこそがガラティアが所持する武器の正体でした。
けれども、それならばこちら側も有している。
そう・・・タケルが所持する緋刀貮漣―――・・・
云うなれば、この闘いは世界の覇権を掛けた闘いから、最強の称号を得る為の闘いへと移り変わっていたのです。〕