<四節;歓待の調べ>

 

 

〔ところ変わって――― 一方のこちら、フのウェオブリでは、アヱカが、この国の尚書令の邸宅に招かれていたのです。〕

 

 

ア:あの―――・・・イク様?

イ:はい、何でござろうかな?

 

ア:な・・・何も、わたくしを受け入れるために、こんな接待をなさらずとも・・・・

イ:あははは――――いやいや、これはあくまでも、今までそなたが受けていた不当な処遇を、

  一日でも早く忘れてもらいたいがために、ワシ個人がしているまでの事・・・そう深く考え込まれるな。

 

 

ア:は―――はぁ・・・

女:<でも、しかし・・・まぁなんというか、太っ腹な御仁だな。>

 

ア:<女禍様・・・確かに、これからこの方の下で働こうというのに、これでは、立場が真逆なのでは??>

 

女:<はは・・・それはそうかもしれないね。

  第一に、この仕様―――この前の歓待以上かもしれない・・・>

 

ア:<・・・・・―――――あの・・・>

女:<あぁ、そうそう、交代しようという提案は、一切受け付けないから、そのつもりで。>

 

ア:<あ・・・・・っ、ダメですか??>

女:<ダメも何も、君もこの人の案を受け入れてしまったのだからね、今までよりかは少し偉くなったんだ。

  そうすると・・・他国の者達と、こういった会合をする機会も多くなってくる。

  そんな事で、一々変わってばかりはいられないよ。>

 

ア:は―――・・・そうでございますか・・・。(はぅ)

 

 

イ:おや?!いかがされたかな―――?

ア:(えっ?!)(ギク!)い・・・いえ、美味しく頂いておりますですよ・・・。

 

イ:ふむ・・・どれ――― おおっ!なんと・・・いかんでわないか・・・

ア:は―――はい??

 

イ:お――――い、これこれ、こちらの 秘書監殿 の杯には充たされてはおらぬぞ―――?!

ア:(え・・・っ)ええ〜〜っ?! 秘書監 ?? こ・・・この、わたくしが・・・です?!

 

イ:ぅん?! あぁ〜当然でござろう。(ニカ)

  このワシの下で働くからには、それなりの役目・・・つまりは、直属の省庁でもある 秘書省・秘書監 に、なってもらわねば・・・な?

 

  それとも―――お気に召されぬかな?

 

ア:い――――いえ・・・とんでもございません。

  ただ・・・小国の姫であったわが身に、これほどの破格の待遇・・・・身に余る次第でございます。

 

イ:そうですか―――いやよかった。

  もし、これが気に召されぬと、ワシと同じ尚書令か、録尚書事あたりも考えておったのですがなぁ??

 

ア:(ろ・・・録尚書事・・・・なんともありがた迷惑な―――)

  はは――――イク様、これからあなたの下で働こうとする者が、あなたと同列―――若しくは上司になるというのはちょっと、いかがなものか・・・と。

 

イ:ハハハハ――――冗談ですよ、冗談。

  まぁ・・・お気に障られたら、一献飲んでさらりと流して下さらんか。

 

ア:はぁ―――・・・では、有り難く・・・・。(コクッ)

  ぷ〜〜――――旨いっ! さすがは、七国一の美酒でございますね。

 

 

〔アヱカが眼をまろくしたのにも無理はなかった・・・何しろ、この前の宴以上の出し物が、卓上にずらりと並んでいては、

気後れもし、颯爽と女禍様と交代しよう――――と、思ったのにも無理らしからぬところだったでしょう。

 

でも・・・女禍様は、アヱカのその案を却下―――と、いうのも・・・

今までよりも(遥かに)偉くなってしまったアヱカは、これから否が応でも、他国の高官達と会う機会が多くなるだろう―――

と、そう予測をし、少しでも慣れてもらう狙いもあった・・・・

 

はずなのですが――――諸兄にはお気づきになったでしょうか?

交替をしない―――といっていたにもかかわらず、ちゃっかりその人が出てきていたことに・・・

 

では、どの場面で? それは―――――・・・〕

 

 

ア:(ヤレヤレ―――・・・私も相当に甘いものだな、交替してやらないといってたのに・・・・

  それにしても、いきなり三等官である秘書省・秘書監とは・・・破格に過ぎるな、この待遇。)

 

  <―――――・・・・・。>(←昇天中)

 

 

女:<お〜〜―――い、いつまで昇天してるつもりなんだい、秘書監殿。>

ア:<あ・・・・あの、わたくしが・・・秘書監??(クラ・・・) な、何かの間違いなのでは・・・(クラクラ〜)

 

女:<まぁ・・・いいじゃないか、この前までは布衣だったのに、いきなり三等官に登用されたんだ。

  これで君も、胸を張って宮中を往来できるというものだよ、違うかい?>

 

ア:<はぁ・・・それは、そうですが――――>

女:<まぁ、今回は、また美味なるモノをいただけたので、文句はいわないでおくよ。>

 

ア:<はぁ―――・・・・あのぉ〜・・・>

女:<だぁ〜〜―――め! この美酒を飲みたいから・・・と、いいたいのだろうけど、気絶してしまった君のほうが悪いっ!>

 

ア:<あ゛・・・バレてしまいましたか・・・いいこと続きばかりではありませんのね。>

女:<そういうこと、まぁ――――どうしても・・・と、お願いするのなら、別だけどね。>

 

ア:<すみません・・・どうしても――――>

 

 

ア:(クスッ!)あっはははは――――

イ:おや?!どうしなされた? 急に笑い出されて―――

 

ア:いえ―――・・・ここのところ、愉快な事続きですので、つい笑いのほうも・・・

イ:そうですか――――どうやらそなたは、見かけによらず『笑い上戸』のようですな―――

  いや、いい酒であることはよいことだ、ははは―――――

 

 

〔それは、自分が 秘書監(三等官) に、なった〜〜―――というところから・・・

 

それというのも、女禍様も言っていたように、ついこの前まではその辺りにいる一般人と変わらなかったのに、

いきなり宮中を往来できる身分となってしまったのだから――――

 

でも、これも何も無作為から――――というものでもなく、ちゃんとした理由・・・

 

つまりは、ボウなどの佞臣の一派から、とやかく言われないように、予防線を張ったことでもあったのです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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