<第百五十一章;靜かなる地上の上で・・・>
≪一節;見せかけの余裕≫
〔十本もの聖剣による、同時解放―――・・・
これにはさすがの死せる賢者も、耐え切れるものではありませんでした。
喩えそれが、本来の力の一億分の一・・・だったとしても―――
だから、その「縛り」を解くため、一時的に許容されていた分量以上の解放をしてしまったのです。
けれどそのお陰で―――・・・〕
ギ:むう・・・なんと、ワシらからの力を撥ねつけおるか。
婀:じゃが・・・相手とて無事には済みますまい!
〔「無事では済まない」―――その言葉通り、ガラティアの持つグラムに異変が起きていたのです。
けれどその異変は、ガラティアにはよく判り、戦士達には判り難い処に見られたのです。
そう・・・剣の柄に―――
けれど、その事は武の達人でもあったガラティアには、殊の外重要だったのです。
だからなのか・・・〕
ガ:フ―――・・・中々・・・中々やるようだ。
これでは、手加減がどうの―――と、云ってる場合じゃないね・・・。
ミ:なんと・・・今までは手加減をしていたと―――
紫:ですが、それが命取りになると云うものです!
〔このままでは・・・自分が滅ぶのを待つのみ―――と、そう捉えたのか、
次にガラティアは、次の攻撃で全力の攻撃を仕掛けることを宣言したのです。
この言葉の有り様に、身構える者も少なくありませんでしたが、反面・・・疑惑に駆られた者も少なくはありませんでした。
どうして・・・この期に及んで―――わざわざそんな宣言をする必要があるのか・・・
もしかすると何かの時間稼ぎ―――?
そうとも思われなくもなかったので、現場にはある種、異様な緊張が生じてきたのです。
けれど・・・そう―――
ガラティアは確かに、この期に及んで時間を稼いでいました。
一体何のために・・・?
それは―――・・・〕