≪二節;説得≫
〔それはそうと、この時女皇アヱカは―――・・・?
実はこの時アヱカは・・・〕
ア:―――・・・。
女:―――・・・。
〔アヱカは、戦士達がガラティアに「バインド」を仕掛けた時、既に・・・
ある人物の説得に回っていたのです。
そう・・・「魔皇」の真実を知り、実の姉の「真意」を知ったが為に、アヱカの精神世界に閉じこもってしまった、女禍の・・・〕
ア:・・・女禍―――お顔をお上げください・・・
女:・・・済んだのか―――私の姉を・・・殺したのか、ヱニグマ!!
ア:何を申されているのか判りませんが・・・余り駄々を捏(こ)ねるのではありませんよ。
女:「駄々」を「捏(こ)ねる」―――だって・・・?
当たり前じゃないか・・・世界でたった二人しかいない、実の姉なんだぞ?!
〔暗い闇に・・・膝を抱えたまま蹲(うずくま)る女禍―――
まるで・・・悪い事をして叱られてしまった時の子供がするような行動に、アヱカは―――・・・〕
女:あっ―――・・・
・・・ぶったな―――よくも私をぶったな!
ア:ええ・・・ぶちました。
あなたが余りに判らない事を云うものですから・・・。
女:判らない・・・? 私が・・・判らない事を・・・だと?
判らない事を云っているのは―――
ア:・・・それが―――わたくしが存在を欲しがったことのあるお方のお言葉だとは・・・
わたくしは、残念でなりません―――
それにあなたは、本心では判ってはいても、まるで判っていないかのような行動をお取りになっている・・・。
これでは、ジルも浮かばれないでしょう―――・・・
女:なんだと? お前に姉さ・・・ん・・・の―――
ヱニグマ―――お前・・・
〔アヱカは、女禍の頬を打擲(ちょうちゃく)しました。
そうした謂れのない行動に女禍は腹を立て、つい反論してしまうのです。
そのお陰で、ここで少なからずの交渉の場が持てました。
そう・・・「全員」なくしては、ガラティアは斃せない―――
その「全員」の内(なか)に、女禍も実は含まれていたのです。
だから・・・どうしても―――駄々を捏(こ)ねて部屋の隅に引っ込んでいる女禍を引っ張り出すため、アヱカ自らが交渉を行い・・・
ガラティアの方も、その為の時間をわざわざ作りだしてやっていたのです。
それにしてもどうして―――・・・ガラティアが、敵に塩を送るような真似を・・・
その事を述べる為に、アヱカの眸からは一条の涕が流れていました・・・。
そう・・・ここでアヱカは、女禍の姉達の決意の程を代弁したのです。〕