≪二節;破磁の所以≫
〜ガ・シャンッ☆〜
ア:あっ・・・・ああ・・・も、申し訳ございません。
イ:あ―――――ああ〜〜・・・・いや、気にする事はない、気にする事はないよ・・・。
つ、次を気をつけてくれれば〜〜・・・。(はぁう)
ア:ど、どうも・・・申し訳ありません――――(しょぼん)
イ:それより・・・これを侍中府に渡しておいてくれんか。
ア:はい、かしこまりました。
〔なんとも、派手な音と共に、爆ぜ砕けた磁気の器・・・・。
どうやらアヱカが、手を滑らせてしまって、落として割ってしまったようです。
しかし、イクはそれを咎める様子でもなく、次を気をつければ〜〜とは・・・・。
それよりも、アヱカが侍中府に、使いに行く最中に・・・・・〕
女:<なぁ、アヱカ? あれで・・・何枚目だったのかな?>
ア:<はぁ・・・五枚目―――で、ございます。>
女:<そうか・・・五枚目・・・・はあぁ〜・・・なんてことだ、君も私と同じくしてハジなんて・・・
似なくていいようなところまで、似てしまっているんだな・・・。>
ア:<はぁ? な、なんでしょう・・・ハジ・・・って。
まぁ、確かに、それは恥と申すべきなのではありましょうけれど・・・>
女:<あぁ――――いや、その恥じゃあなくて・・・『破磁』、またを“陶磁器を破る者”の事・・・だよ。>
ア:<陶磁器を・・・破る、ですか?>
女:<そう、それよりね、アヱカ――――君も不思議に思わなかったかい?>
ア:<えっ?? なにを・・・でしょう?>
女:<君だけ、なぜかしら壊れにくい、樹の器だった――――って事がだよ。>
ア:<・・・・・・あっ!! い、言われてみれば・・・>
女:<それよりね―――その『破磁』の言葉の由来となった者・・・誰だと思う?>
ア:<えっ?! この言葉の由来となった者・・・・です? さぁ・・・どなたなのでしょう??>
女:<ふふ・・・実はね、何を隠そう、私の事なんだ。>
ア:<え――――ええっ?!! じ・・・女禍様が・・・ですか?>
女:<そう――――私が触れてしまった、こういった壊れ易い物は、皆尽(ことごと)くに形を失くしてしまってね・・・
そこで付けられてしまった仇名が『破磁』というわけなんだ。>
〔そう・・・・古えの仁君にあった、たった一つの欠点が、これだったのです。
しかも、その難癖といっていいものを、時限(とき)を隔てたアヱカが受け継いでいる・・・・とは、なんと言う皮肉もあったものでしょうか。
しかし―――この“お使い”の最中(さなか)に、一事件が起きてしまったのです。〕
どん―――ッ〜☆
ガランガラン
ア:あぁ・・・す、すみません、よく注意していなかったもので・・・・。
(あっ!!)あぁ・・・あなた様は!!
リ:よく注意していなかったから――――じゃと?
うぬは、ワザとにぶつかってきて、妾に恥をかかせてやろう・・・・そう思ったのであろうが!!
ア:そ――――そんな、とんでもございません、ナゼにわたくしがそのような事を・・・・
リ:ふん―――・・・よく言うわ、これからクー・ナの使者と、大事な会合をせねばならぬものを・・・・
それを、裾が汚れたままで、どうして出られようか!!
ア:も・・・申し訳次第も・・・・ございません。
リ:ええい――――目障りじゃ!! さっさと妾の目の前から退かっしゃいっ―――!!
ドガッ――――☆
ア:あぁ―――ッ・・・・
リ:・・・・ふんっ――!
〔そう・・・なんと、宮城の通路の曲がり角で、アヱカと王后リジュとが鉢合わせ・・・
しかも、その時王后の持っていた、真鍮製の容器まで落ちてしまい、その中身(おそらくはお茶)がこぼれて、
リジュの着物の裾を汚してしまったようなのです。
そこで・・・日頃からアヱカの事をよろしく思っていなかった王后は、ここぞとばかりに喚(わめ)き立て、
その上、アヱカを蹴飛ばしてその場を去り・・・自分の部屋に戻ったのです。〕
ア:――――・・・・。
女:<仕方がない・・・・今のは、君が悪かったな。>
ア:・・・・・・はい。
女:<そう、気にする事はないさ・・・・次を気をつけよう。>
ア:・・・・・・・・はい。