≪三節;用意周到なる画策≫
〔―――――が、しかし・・・悪いことは続くもので、その出来事があった日より、数日間隔てた、ある日の事――――
なにやらここの女官達が、こそこそと話しているのを見たアヱカは・・・・〕
官:〜〜〜―――・・・だったんだってさ・・・(ぼそ)
官:まァ・・・・本当に??(ぼそ)
官:この事が、禍いにならなければいいのだけれど―――・・・(ぼそ)
官:あらっ―――噂をすれば〜〜〜よ・・・(ぼそ)
ア:あの―――・・・皆さんで集まって、何を話し合っておられるのでしょう??
官:いぇ・・・・さて、私はこれで――――・・・(そそくさ)
官:では、私も――――・・・・(そそくさ)
官:やだやだ・・・・怖い怖い、何も知らない〜と、いうことは・・・(そそくさ)
ア:は―――・・・あ・・・・・。
〔まるで・・・・腫れ物に触るように、アヱカを避け、そして何かを噂しあい、去っていく女官達・・・・。
このことに首を傾(かし)げるアヱカなのですが、次に・・・セキに会った時、彼女達がナニを噂しあっていたのか・・・分かったのです。〕
セ:――――アヱカ様・・・。
ア:あぁ、これはセキ様・・・。
どうかなされたのでしょうか?
セ:はぁ―――・・・実はちょっと・・・イクのところまで、私と共に来て欲しいのですが・・・・
ア:尚書令であるイク様のところへ?? それは構いませんが・・・・でも、どうして――――?
セ:それは、来て頂かれれば、分かることです・・・。
〔この国で、唯一味方と言っても過言ではない、セキのこの言葉に、少々戸惑いながらも、
この国の尚書令である、イクの部屋まで赴くアヱカ。〕
ア:アヱカでございます――――あの、どうかなされたのでしょうか・・・
イ:・・・・・すまんな、アヱカどの・・・・。
ア:え――――?
イ:実はな・・・・覚えておろう、ワシが侍中府に、そなたを使いにやらせた日の事を・・・。
ア:は・・・・い。
イ:その途上で、何がござった・・・。
ア:わたくしと・・・王后様が鉢合わせになってしまって――――でも、悪いのはわたくしのほうなのです、
それをどうしてイク様がすまないなどと―――・・・
イ:なるほど、そうか――――そう言う事だろうとは思ってはいたが・・・・
いや・・・実はな、あのリジュが、汚れた着物から着替えるのに手間取りおってな、
その時丁度見えておった、クー・ナの使者を甚(いた)く怒らせてしもうて、
その時に決めておかねばならない、今年下半期の穀物の取り引きの量と相場を反故にしてしまいおったのじゃよ・・・。
ア:え―――・・・・そんなことが・・・・
イ:しかも、その理由の如何(いかん)を問うてみれば、総てはそなたの所為だとぬかしおる・・・・
だが、ワシはそのようなことはない――――と、あくまで突っぱねたら、今度は女官にまでそのことを言いふらしおった・・・。
女:<なんと・・・用意周到な―――>
ア:・・・・・・。
セ:しかも、まださらに王后の言われるのには、『田舎娘を官に据え置くから、このようなことになるのじゃ』
と、のたもう始末で・・・・。
イ:そこで―――そなたには、真にもって申し訳ないのだが・・・
今の官位を剥ぎ、地方の州公として出直してもらうことで、折り合いをつかせたのだ。
セ:お気を・・・悪くなされるな。
これでも、首を縦に振らぬ者を、譲歩に譲歩をさせて得られた結果なのですから・・・。
ア:いえ・・・とんでもございません、わたくしが知らないところで、そのようなことがおありでしたとは・・・。
本来なら、わたくしのほうが謝らねばならないことなのに、それを・・・・イク様やセキ様にまで、ご迷惑をおかけする事になるなんて・・・
わたくしは、なんと申し開きをしてよいやら、言葉知らずで真に申し訳ございません。
〔セキやイクから、事の顛末を聞かされ、その時に自分がやらかしてしまった、事の重大さに、その責を痛感するアヱカ。
しかし―――このままでは、下の官吏たちに示しがつかないため、現在(いま)のアヱカの官職を落とすことで、
一応の決着を見ようとしていたのです。〕
ア:ところで――― “地方の”と、おっしゃっていましたが・・・・一体どこの州なのでしょう。
イ:(フ・・・)それは一向に心配するには及ばない。
ここ、ウェオブリよりそう遠くない『レイ州』じゃ。
〔アヱカの新たなる任地は、フ国の都、ウェオブリがある州『チ州』より、そう遠くなく、治安も比較的安定している『レイ州』。
しかし・・・アヱカは、いや――――フ国に巣食っている“蟲”に抗っている集団は、知らなかったのです。
アヱカが、これから真に赴こうとしている、任地の事を―――――〕