≪四節;ギルド急襲さる――――≫

 

 

〔それはさておき――― 一方のこちら、ギルドに於いても、フ国に移る――――と、言う計画の最中(さなか)に・・・〕

 

ズ・ド・ド・ド・ド―――――――ン

 

婀:な・・・なにっ?!!

 

 

〔突如として鳴り響く、天を揺るがすかのような大音響―――――また、それと共に・・・・〕

 

グギャアァ〜〜――――――・・・ォオン!

 

盗:う・・・・うわぁぁ〜〜!

盗:な、なんだあぁ〜〜??ど、ど―――してこんなところに〜〜・・・・

盗:たあっ―――・・・助けてくれえぇ〜〜――――!!

盗:か、怪獣だアぁ〜〜――――!!

 

 

〔余り―――この近辺では聞かれない、魔獣・グリフォンの、けたたましい咆哮。

また、その怪異なる姿を見て、逃げ惑う盗賊たちや、この街の住人――――・・・・〕

 

 

紫:ご注進―――――!!

婀:どうしたというのじゃ、紫苑――――!

 

紫:そ、それが・・・・北門が何者かに襲撃され、奪取。

  また、それに伴い、ゴブリンやグレムリン、ミノタウロスなどの魔物と――――

 

婀:ナニ―――――?!!

 

紫:それに併せ、カ・ルマの軍旗が翻っている模様です!!

婀:なんじゃと――――カ・ルマ?!! じゃが・・・しかし、この騒動はいかがしたことか?!!

 

紫:そ――――それが・・・信じたくはないのですが・・・数匹のグリフォンまでもが、ここを強襲している模様なのです!!

婀:ナ・・・・ニ!!? ぐ、グリフォンが――――??

  (それに・・・ゴブリンやグレムリン?? なぜに魔物が、カ・ルマに組みしておるというのじゃ・・・)

 

紫:公主様――――ここはもはやダメでございます・・・。

  今のうちに、早くここをお棄てになって、落ちて下さいっ――――!

 

婀:・・・・じゃが、他の者は、未だにここから出られていないのであろうが―――・・・

紫:公主様――――・・・・

 

婀:そんな―――そんな配下の者達を見棄てて、妾だけ生を拾う事などできぬ―――!

  そのようなことをして、次に姫君に、どの面を下げて会ってよいやも・・・・妾は知らぬ!!

  どうせ負け戦ならば・・・・せめて死に花を咲かせて見せるわ――――!!!

 

 

〔忠実なる部下、紫苑から事の詳細を耳にし、今、この地に何が起こっているのかを知る婀陀那・・・。

 

そう・・・・魔物に、魔獣たちがひしめき合っている中にあって、翻っているカ・ルマの軍旗が、如実にそのことを物語っていたのです。

 

そのことに憂慮を浮かべ、せめて主だけを逃がそうとする紫苑なのですが・・・・

まづ第一に、己の保身よりも、属下の者達の事を心配してやれるとは・・・・

 

いや――――それよりも――――・・・〕

 

 

婀:紫苑――――妾は、これより有志の者を募って、迎撃にあたる――――!!

紫:ハハッ―――なれば、不肖の私めも・・・・

 

婀:いや――――

紫:えっ―――??

 

婀:お前は・・・これよりここを脱し、ヴェルノアにおる者にこの事を伝えるのじゃ―――・・・

紫:え―――・・・で、では、私だけ逃げよと仰せで・・・? い、いやでございます―――!!

  婀陀那様でさえ、そうはなされないのに・・・ナゼに私にだけそれが出来ましょうか――――!!?

 

婀:よいか、紫苑――― 勘違いをするではないぞ、お前を一旦故国に戻すというのは、それなりの理由があるからじゃ・・・。

  お前がアルル・ハイムの城に戻り次第、すぐに一軍を率いて北上するのじゃ・・・

 

紫:し――――しかし、それでは・・・・

婀:関の事は案ずるな・・・妾の代わりの―――――(ス・チャ・・・)これを掲げれば、すんなりと通してくれよう。

 

紫:(こ――――これは!!!)婀陀那様!これは、あなた様がお持ちでならなければいけない『公主の印綬』ではありませんか!!

  どうしてこんな大事な―――・・・・(はっ!!)ま・・・まさか――――婀陀那様・・・お死にになるおつもりなのでは・・・・

 

婀:・・・・冗談を申すではない。

  妾は、あの姫君と共に生くるを選択したのじゃ・・・・それがナゼにこのようなところで――――ましてやこんな事で約束を違えられようか!!

 

紫:あ―――・・・婀陀那・・・様。

 

婀:・・・・そのような表情(かお)をするな、紫苑・・・それではまるで、妾が死地に赴くようではないか・・・。

  心配するではない、どのようなことがあろうと、妾はきっと生き続けて見せる。(ニコ)

 

 

〔婀陀那は――――紫苑に、そう微笑んで言い聞かせてみてはいたものの・・・・不思議とその瞳は笑ってはいなかった――――

少なくとも、紫苑にはそう感じぜずにはいられなかったのです。

 

そして、そのことは、まさに婀陀那が『死を覚悟していた』事の表れであり・・・

いくら腹心といえど、紫苑が諫めても、頑くなままであったわけなのです。

 

 

そんなことより―――――自身、白銀の鎧に身を包んだ女頭領婀陀那は・・・・〕

 

 

婀:聞けぃ―――――! 不埒ながらも、この夜ノ街を侵そうという者がおるようじゃが・・・・

  うぬらはそれでよいのか?! 盗賊が、そうでない者に、自分の居場所を掠め奪られようとしておるのじゃぞ――――!!

 

盗:あんだってぇえ〜〜―――?!!

盗:どこのどいつだ! んなバカげたことを考え付くヤローは・・・・

盗:他人様のものを盗っていいのは、オレ達の専売特許だぜぇ〜〜―――?

盗:おぉよ―――それを・・・逆にオレ達のモノを盗るだとぉ〜〜――――??

盗:オツム・・・・ちぃとばかし足りないんじゃねぇのかい、そいつ等。

 

婀:(フ・・・)その通りじゃ――――!! ここは、妾達の街、そこを略奪しようという、不逞の輩に思い知らしめてやろうではないか――――!!

 

盗:オぉ―――――っ!!

盗:そうだ、そうだ―――――っ!!

盗:頭領、オレはあんたについていくぜ―――――ッ!

 

婀:よし・・・・・ならば、己が武器を手に取れ――――! 奴等に一泡吹かせてやるのじゃ〜〜――――っ!!

 

おぉ――――――っ!!!

 

 

〔今、夜ノ街に起こっていることを、包み隠さず盗賊たちに伝える、頭領の婀陀那・・・・

 

そして、その事を聞き、一部には動揺が見て取れるものの、婀陀那の『激励』により、士気を奮い立たせる盗賊たち・・・。

 

これにより、“徒党”から“軍団”となったこの集団は、一丸となって、カ・ルマの軍とあたる模様です。〕

 

 

 

 

 

 

 

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