≪五節;略奪者の末路≫

 

 

〔その一方――――― 夜ノ街から遥か南、サ・ライのシャルナより、この地に向かっていたキリエは・・・・

 

丁度この時――――そう、夜ノ街が強襲されている最中(さなか)に、自分が出しているお店、『キリエ堂』から出ようとしていたところだったのです。〕

 

ズ・ド・ド・ドド――――――ン!

 

キ:(なに・・・?この地鳴り――――)

  ―――・・・あれは!!グリフォン!! ど・・・どうして、魔獣がこのようなところに・・・

  (もしかして――――・・・)行ってみよう。

 

 

〔そう・・・かの魔獣、グリフォンがこの地にいることを知り、ある予感がしたキリエ・・・・

急ぎ、その場所まで行ってみれば――――・・・・〕

 

 

子:あ゛あ゛あ゛〜〜〜ん――――お、おがぁぢゃあぁ〜〜ん!

妻:あんた・・・・あんたあぁ〜〜―――! 目を、覚ましておくれ〜〜――――

父:息子・・・・息子よぉお〜〜――――

 

 

〔魔獣、魔物、人間が入り乱れ、蹂躙のしほうだい・・・・。

 

物云わぬ、親や子・・・伴侶の名を、必死になって叫ぶ戦争弱者達・・・・咽(む)せ返るような血の臭い――――

まさに、阿鼻叫喚の修羅場が、そこには存在していたのです。

 

しかも――――大事な人を亡くしてしまい、打ち拉(ひし)がれている者達に対しても、この略奪者共は・・・・〕

 

 

兵:ぬぅわぁ〜〜〜――――っはっはっは! 死ィねぇえ〜〜――――!!

妻:あっあ―――― お助け・・・・

 

 

〔またしても、その剣で血の雨を降らせようとしたのですが・・・・・

 

なぜか、その剣は、二度と弱者に対して、振るわれることはなかったのです。

 

――――なぜならば――――

 

その剣を振るっていた、カ・ルマの兵士は、どういったわけか、近くにあった壁に貼り付いたまま――――

 

“凍結死”

 

していたのだから・・・。〕

 

 

妻:あぁっ――――あ、あ・・・・

 

キ:・・・・・大丈夫?立てるかしら?

妻:え―――? は、はい・・・。

 

キ:それよりも、一刻も早く、この街を離れて逃げてください。

妻:えっ―――・・・で、でもあんたは・・・・

 

キ:私なら・・・大丈夫です。(ニコ)

  あるお方とのお約束がありますから・・・こんなところで死んでしまうわけには行きません。

 

  それよりも、さ――――早く。

 

妻:は・・・・はい。

 

 

〔夫を亡くしてしまった女性が、頭を擡(もた)げた時、そこにいたのはキリエでした。

 

それから、キリエはその女性に対し、こう言ったのです、『一刻も早く逃げるように』・・・・と。

 

 

そして――――比較的、手薄な南門から、街の住人達を逃がすキリエ・・・・。〕

 

もう――――・・・

 

誰もいなくなった、この場所で――――・・・

 

本来の彼女が――――・・・

 

 

目覚めようとしていたのです・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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