≪六節;蒼穹の戦士≫

 

 

〔しかし―――― ここに、逃げ遅れたのでしょうか・・・一人の子供が、取り残されていたのです。

 

それを目ざとく見つけ、襲いかかろうとする魔物、グレムリン――――

でも、このグレムリンの魔手が、逃げ遅れた子供に届くより先に・・・別の何者かが、グレムリンを襲ったのです。

 

その・・・魔なる者を襲った存在こそ―――― この怪異なる者達よりも、さらに怪異な存在・・・・

 

説い伝えによるならば・・・

現在よりも遥か太古の昔に、伝説上の“皇”の勢力に加担し――――

その勢力に抗ってきた勢力を、

尽くに滅殺してきたという・・・・・

 

青緑色の鱗をもつ竜と、同化している存在――――

 

また・・・その鎧兜も、往時や現在に見られるような形容(かたち)ではなく・・・・

その奇抜なまでの形態(フォルム)は、まさに類まれで、例を見ないかのような・・・・近未来的なモノ――――〕

 

常に・・・その腕(かいな)に携えたるは

『凍結てつきの画戟』

 

そう、その存在こそ――――

 

『竜眷属』=ハイランダー

 

 

子:あぁ―――あ・あ・あ・・・・

 

竜:≪何をしているの―――・・・早くここから退きなさい。≫

 

子:うっ――――うっうっ・・・えぐっ・・・・

竜:―――――・・・・。

 

 

〔しかし―――未だにその顎(あぎと)に遺る、グレムリンの腕(かいな)が見えているからなのか・・・

それとも、今までにも目にしたことのない甲冑を、その存在が着ていたからなのか・・・・

また、この街を襲っている魔物たちよりも、怪異なる存在が、『人語』を解し、操っているからなのか・・・・

その、ヘルメットのシールドより覗いて見える、ランランと洸る瞳が、その存在の怒りを反映しているからなのか・・・・

 

その子供は、その場を動けなかったのです・・・。

 

 

しかし、そうしている間にも、侵略者達は、わらわらと集まりだし・・・・自分達と、その存在意義を同じうする者が、

仲間を啖(くら)っていることに、憤慨し始めたのです・・・・。〕

 

 

ガ:おっ――――おい!あすこを見ろ!!

オ:な・・・なんでオレ達の仲間が・・・同じ仲間に喰われてやがるんだあぁ〜〜??!

ト:んにゃろう――――オレがバナナを遺してやんなかったから、間違えて喰いやがったな―――??

ミ:あ゛あ゛―――?!# てめぇだったのか・・・・フォルネウス様から頂くはずだった、一盛り500ゴールドのあれを、独り占めしやがったのはぁ〜〜―――

 

ト:(あらぁ〜〜―――)ンな事より、敵あっち、あっち――――!

ミ:・・・・てめぇだけは、あと勘定だからな・・・・それよか、やっちめェ〜〜――――!

 

 

〔そして―――侵略者達は、その竜に対し、一斉攻撃を仕掛けたのですが・・・・

 

どうして、その昔より、自分たちと同じ存在を、討ち平らげてきた者に、敵うはずがありましょうか・・・・?〕

 

ウォオオオ−−−−−

 

〔ハウリング・ハザード;またを『凍結を招く雄叫び』と呼ばれる、この竜の咆哮は、ただそれだけで『麻痺』『混乱』『士気低下』を招くだけでなく、

『凍結』の耐性の低い者達を、瞬時にして凍らせてしまう畏るるべきモノ・・・・

 

そう・・・今、この者達を襲おうとしている魔物達は、その竜の咆哮一つにより、即座に凍らされてしまったのです。

 

 

そして――――その竜の騎士が、未だに動けないでいる子供を見ると・・・・〕

 

 

竜:≪さぁ、もう大丈――――(うん?) 成る程・・・足に傷を負ってしまっていたのね。

  ちょっと待ってて――――(ピッ) さ・・・これを傷に当ててごらんなさい。≫

 

子:え・・・こ、これ―――鱗?? ・・・・これ――――を??

竜:≪ええ、そうよ・・・しばらくかかると思うけど、私の鱗はその傷を塞いでくれるはずよ。≫

 

子:・・・・・ありがとぅ。(ペコ)

竜:≪どういたしまして――――(ニコ) それより、鱗を貼り終わったら、皆のところに行くから・・・こっちにいらっしゃい。≫

 

子:うんっ――――!

 

 

〔そう・・・その子供は、余りもの恐怖で動けなかったのではなく、足を負傷していたのです。

 

それを見た竜の騎士は、自分の体の一部である、その鱗を一枚剥ぎ取り、それで傷を癒すように説いたのです。

 

そして―――その時、その子供は感じたのです。

今、ここを襲っている者達よりも、怪異の姿をしているのに・・・

また、その顔の殆んどを、蒼碧色のシールドで覆われて、表情とかが分かり辛くあるのに・・・・

その時、微笑んでいた唇を見て、実は竜の騎士が心優しい存在ではないのか・・・と、思うようになったのです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

>>