<第十九章;“孝”の償い>
≪一節;悪しき報せ≫
〔それは―――・・・全くといっていいほどの、驚きがそこにはありました。
その家臣の口からは、その街で何が起こったのか――― の、全容と・・・
またも、その出来事が、カ・ルマの仕業である事を、聞くに及んだのです。〕
セ:なんと―――・・・盗賊共の町までもが、ヤツらの手に陥ちた・・・・と。
キ:はい・・・しかも、畏れていたことに、人間の兵のみにあらず、魔物たちまでも―――・・・
ア:・・・・・・・・。
セ:(うう~~――む・・・)州公様、聞いての通りです。
やはりここは、兵役の二割削減は、先送りにしたほうがよろしいのでは・・・・?
ア:~~――――・・・・・さんは・・・?
セ:(ん??)アヱカ・・・様??
ア:・・・なぁ―――キリエ・・・
キ:・・・はい―――
ア:その街には、確か『ギルド』なる組織があったと思ったのだが・・・その首領はどうしたのだ。
キ:・・・申し上げにくいのですが―――
こちら方面に流れていく者を捕まえて、彼の者の所在を確かめようとしたところ・・・
どうやら、敵の手に陥ちた―――とか・・・
ア:<ああっ―――!!>
女:<アヱカ・・・>
そうか―――分かった・・・。
では、鑑定士は?
キ:あの者は・・・よく分かりません。
―――が、聞いた話によりますと、彼の街、陥落の数日前には、離脱していたようでして・・・
これは、余り定かではありませんが・・・。
ア:そうか―――そういえば、そうだったな―――・・・
セ:州公・・・様??
ア:ああ―――いや・・・こちらの話です。
そういえば・・・そうなる事の旨を、首領から聞いた事があったのを、すっかりと忘れていたよ。
(ふぅむ・・・)これは少し困ったことになったな―――
キ:あの・・・主上? どうかなされたのですか?
ア:え?いや―――・・・実は、州公である、私が身に付けるべきモノが、贅沢に過ぎてね・・・
それで、余分なものを払い下げにしようか―――・・・などと思っていたところなんだ。
キ:そうでしたか―――・・・
〔奇しくも―――『夜の街陥落』『首領も敵の手に陥ちた』報を、キリエから聞き―――・・・
アヱカは一瞬、耳を疑ったのです。
しかし―――そのことは悟られてはならないと、女禍様は、機転を利かせてくれたのです。
でも、彼女にしても、これからなそうとする事の、伝手(つて)を失ったため、少し困った事になった・・・と、ボヤいたようなのですが―――
そこはそれ、三人寄れば―――・・・との諺通り、アヱカ(女禍様)・キリエ・セキで、考えるようです。
すると―――・・・〕
キ:うう~~―――ん・・・ならば、こんなのではどうでしょう?
ここの州は、実に五年もの間、高い税の取立てなどで、民を苦しめてきた経緯があるではありませんか―――・・・
セ:そ、そのようなことを一体どこで―――
キ:別に――― 珍しい事ではありませんよ、セキ殿。
それに、よくこの界隈では耳にしていることですから。
『あそこの州牧は、たとえ不作の年であっても、きっちりと税を取り立てる、実に厳しいお人だ・・・・』
と―――。
セ:う――――うむむむ・・・
ア:まあまあ――― これ、キリエ・・・セキ殿は、元々フの中央官僚なんだ・・・
一地方である州の・・・それも、カ・ルマに程近い処で、何がなされていたか・・・
知るには及ばなかった事だろう。
キ:それは―――そうですが・・・
セ:いえ――― 私もフに仕えている身、それを知らなかったで済まされる問題ではございません。
ましてや―――、この件に関しては、フの官僚たる私が知りおかず、
全き他人のアヱカ様やキリエ殿のほうが詳しくある・・・と、いうのは、実に恥ずべき事であります。
〔なんとも―――恥ずべき事・・・そう、侍中であるセキは言ったのです。
自分の足元でもあるガク州において、何がなされていたか・・・その事を全くといって知らなかった―――
また、知っていたとしても、それはまさしく“氷山の一角”でしかなく、
おかしな事には、フの中央で働いていた自分よりも、それまでは他人であったはずのアヱカやキリエのほうが詳しかった・・・・
それだからなのです。〕