≪三節;行く末―――≫
リ:ところで―――この度の事変なのじゃが。
どうであろう? 今一つ、そなたの『卦』とやらで、行く末を占のうてはもらえぬものじゃろうか―――
シ:・・・・かしこまりました、では、失礼して―――
ボ:(ん―――・・・こ、これは??!)
〔そこでリジュが、今回の事変の行く末を、シズネの八卦によって知ろうとしたのです。
そしてその場で、早速占いの準備をしているところを見てみると・・・
その様式一つにしても、この国―――いや、ガルバディア大陸土着のモノに倣っているところは一つとしてなく・・・
と、いうことは、このシズネなる者が、独自に考案したモノ・・・と、思えなくもなかったようです。〕
シ:それでは・・・これより始めます――――
(ス・・・)出ました。
一邑程度の損失はあるようですが・・・それ以上の増減は、ない模様です。
リ:な―――なんと?! 閣下の領地が・・・減ると申すのか?!!
シ:はい・・・。
ですが―――その要因の一つに、かの州公が、この地に留め於かれていたから・・・・と、いうことをお忘れなきよう。
リ:(う・・・うぅ~む)で・・・では、今一つ・・・その邑は、取り戻す事ができるのか??
シ:・・・・はい、一時的には。
それに―――・・・その砦には、味方・・・況(ま)してや敵兵の姿すら見えぬようですので、
次に、その砦内に足を踏み入れたところの、勢力のモノとなるでしょう。
――――・・・・が
リ:ど・・・どうしたというのじゃ??
シ:・・・・・・・・・・いえ、この私の口からは・・・・・・とても―――
ボ:ナニを勿体ぶっておるか! 構わんから話せ!!
リ:兄上―――!!
シ:・・・・・・・・・では、憚(はばか)らず申し上げましょう。
此度は、運良く味方の損害は、負傷兵一人を出したに過ぎませんが・・・これよりはもっと凄惨な―――
そう・・・言い換えるなら、血で血を洗う争いになっていくことでしょう。
それも―――この大陸を二分してしまうような・・・。
リ:そ―――そんな莫迦な・・・
シ:ですから―――・・・私は、予(あらかじ)め申しておいたはずです、口を憚られる――――と。
〔シズネの操る『八卦』は、まさに精妙そのもの―――と、言ったところのようで、
かの砦で、何があったか―――と、今後の行く末を、詳らかとしてしまったのです。
(でも・・・実は、このことは、特にシズネが、この術式に長けている―――からというわけでもないようで、
では、どうしてそのことの詳細と、総てを知りうることが出来る術(すべ)を、彼女自身は『八卦』などと??
しかし―――まァ、このことは、あとで明らかになっていきますので、総てはそこで―――と、いうことで・・・)〕