≪五節;公主―――その本音≫
婀:妾は―――今でこそ、列強の一つを治むる立場にはある・・・
じゃが、しかし―――その実は、ただの“張子の虎”に過ぎぬ!
公主様―――公主様―――と、持ち上げられながらも、その裏では陰口をたたかれておることも・・・
ヴェルノアの至宝と讃えられながらも、妾の見えぬところで、嘲り笑われておる事も、よう心得ておる!
紫:(こ・・・公主様〜〜―――)(ギュ)
ル:――――・・・。
婀:大国ではあっても、人臣の心の狭さに、妾は憂悶の日々を送るしかなかった・・・
じゃが、それは妾自身をも変えてしもうたのじゃ。
相手と接するときには、常に猜疑心を持って臨んでしもうたり―――・・・
目つきも・・・この4・5年できつくなったのも、よう自覚しておる―――・・・
妾は・・・妾は―――この国に生まれながらにして、この国に骨を埋(うず)めとうはないのじゃ―――!!
紫:(ああっ―――婀陀那様〜〜――・・・)(ポロポロ)
ル:――――・・・。
婀:・・・・それゆえ、妾は一つの結論にたどり着いたのじゃ。
ル:――――それが、『この国を脱出(で)る』・・・と、いうことですか・・・
紫:そ・・・そなた―――!!
婀:紫苑―――まぁ・・・そういうことじゃ。
じゃが・・・ここで一つ問題が・・・・ある。
ル:なるほど―――つまり、それが“あなた様自身”・・・・。
婀:うむ・・・・。(コク)
〔例え・・・“大国を統治する者”といっても、その実、世間体にはとても厳しい評価があったようです。
それゆえに、婀陀那もそういった日々を送ることに、次第に苦痛を感じざるを得なくなり・・・
ついには『脱国』という手段に踏み切らざるをえなくなってきていたのです。
でも・・・ここに一つの『問題点』が―――
(これは、『補章U−4』にも、明確に述べられていることではありますが・・・)
そう・・・それは、ヴェルノアという大国を支えている要がいなくなれば、たちどころに瓦解してしまう・・・と、いうこと。
それゆえに、婀陀那は自分の“影”を作っておく必要性に迫られていたのです。
そして、ふとした時に―――今、巷で噂になっている者・・・とにかくも、他人のマネをするのが上手い―――ルリ某・・・
という存在を耳にするに及び、婀陀那は、彼女に白羽の矢を立てたのです。〕