≪二節;“特使”―――リリアなる者・・・≫
〔そして―――その特使が来る事を“事前に通達してきたか”・・・の如何を問うてみたらば、『通達莫き故の』“特使”―――だそうで・・・
すると、そのことを傍らで聞いていた紫苑は・・・〕
紫:(“北”からの特使―――!!?)≪・・・と、いうことは、先ほどあなたが言ってた事―――って・・・≫
公:≪しかも・・・その『特使』なる人物・・・どなただと思います?≫
紫:≪えぇ――――っ・・・・ど、どなた・・・・って――――≫
公:≪“三将”のうちの一人で、“私”にひどく傾倒している者・・・と、言えば―――≫
紫:(!!!)≪リ・・・・リリア=クレシェント=メリアドール・・・・他国で婀陀那様を一番によく知りうる者が??!≫
公:≪・・・そのようで――――
そして、それこそが、今朝方の“第一報”にて知りえた事です。≫
紫:≪ま・・・・まづいじゃないの!! あなた―――あの娘が何者か知ってて、そういう事を言ってるの?!≫
公:≪・・・・“そういう事”とは―――?≫
紫:≪決まってるじゃない―――あの娘は、普通一般の者とは違う・・・
婀陀那様に“傾倒”していると・・・良く言えばそうなんだけれど、悪く言ってしまえば、婀陀那様“そのもの”になりたいがために、
追い掛け回していた時期すらあるのよ??!≫
公:≪(はぁ〜・・・)なるほど―――つまり、あの方の机の引き出しにある、見るからに女性の筆跡で、意味不明の――――
“恋煩って”いるような文章―――とは、そういうことでしたか・・・。≫
紫:≪み・・・見たっていうの〜〜〜―――?? 他人のプライベートを!!≫
公:≪当たり前じゃないですか・・・・第一それを見ないことには、そう話を振られた時に、何の対応も出来ずに、
一発でバレてしまう危険性がありますからね?≫
紫:≪そ・・・・そう、だったの――――でも、やはりあの娘に会うのは危険すぎるわ・・・。
あの娘は、ズバリ言ってしまうと、婀陀那様自身しか知らないようなことや、婀陀那様特有のクセなども知り尽くしているのよ・・・
この国で、婀陀那様の事を何一つ知ろうとしなかった官達より、数倍も手強いといっていいわ―――
ここは一つ、何かしらの理由をつけて、会わないのが得策よ―――・・・≫
〔紫苑は、その『特使』なる存在が、一番に警戒を強くしておかねばならない者であることを知るに及び、非常に焦りを感じたのです。
なぜならば、その―――リリアなる者は、自分の主=公主・婀陀那に、強い好意を寄せていたのと同時に、
婀陀那と同義になりたいがため、あらゆるコト・・・・身につける装飾品や香水、化粧品などを同一のモノに取り揃えたり・・・とか、
話し方、身振り・素振りなどの立ち居振る舞い―――をまねたり・・・などをして、何とか婀陀那に近付こうとしていたのです。
つまり―――そんな者に・・・・自分たちの国の誰よりも、婀陀那の事をよく知る人物に、“影武者”であるルリを会わせるわけには行かない―――
そう危ぶんだ紫苑だったのですが――――・・・・〕
公:(フッ・・・フフフ――――)成る程・・・つまり、自分たちの国よりも、他国の者の方が、妾をよく知りえている・・・・と、
そんな滑稽な事があってたまるか――――と、そういうことであるか・・・・
紫:ちょ――――ちょっと!笑い事ではないです!!
公:・・・・のう、紫苑――――(ス―――)
紫:は―――はい・・・
公:そなたも・・・・この国を憂いてくれる良き臣の一人ならば―――
これから起こる事・・・・・(カツンッ―――☆)見逃すでは、ないぞ・・・・
〔なんと―――それを、公主様であるこの方は、一笑の下に伏し・・・・
その代わりに、これからここで起こらんとする事の、一部始終を見逃してはならない―――と、言い置いたのです。〕