≪四節;ひと時の団欒―――?≫

 

 

〔―――それからというものは・・・〕

 

 

タ:これはセシル殿、おなつかしゅう―――。

  その後の精進に於かれましては、いかがなものですかな?

 

セ:い、いえ―――それが、典厩(てんきゅう)先生がおられぬと、とんとはかどらないもので・・・(ぽ

 

カ:はは、おやおや―――兄の私や、この国の男連中にはつれないものなのに、

  どうしてか、タケル殿の前では、(女)らしく振舞うものだなぁ―――?

 

セ:あっ―――ちょっ・・・兄さん?! どうしてそんな事を・・・

  あっ―――・・・ああ、す、すみません、はしたないところを見せてしまって・・・(顔紅)

 

タ:はは―――これはちと弱りましたなぁ・・・

  “美”と“勇”を兼備されておられる、三将のお一人に惚れられてしまいますとは―――・・・

 

セ:あっ・・・典厩先生まで、そんな事をおっしゃるのですか??

  もうっ―――知らないッ!

 

 

〔“花”の宿将セシルは、例えお国が違っていても、その考え方において一本筋が通っており、

寛容な人柄の彼を、自分の 兄 に次ぐ『認めるべき異性』として捉えていたのです。

 

その・・・『認めるべき異性』の二人から、からかわれている事を覚え、少しむくれながらも反面、嬉しくもあったものでした。〕

 

 

カ:さて―――と・・・どうやら夜の帳(とば)りも引かれてくる頃合だし、そろそろ竿を収めるとしようか。

  ――――と、その前に、そこもとは、今日どこかに泊まる当てはあるのかな?

 

タ:いや、気の向くままで来たので、“当て”といっては一つ・・・しかないのだが?

カ:ほほう―――では、その一つの“当て”からも断られたら、一体どうするおつもり・・・だったのかな?

セ:(えっ・・・)に―――兄さん?

 

タ:ふむう・・・それは弱りましたなぁ。

  まあ、その時は野宿決定、夜露の寒さや草木の囁きに慄(おのの)き、

  死の間際には、きっとその家の者の名を唱えながら逝く事でしょう・・・。

 

カ:ははは――――いや、そうか。

  その死の間際には、その家の者の名を唱えながら―――か・・・・

 

  いや、参った参った、そんな意趣返しをされるとは、努々(ゆめゆめ)思ってもみなかったよ。

  ――――と、いうわけで、ぜひとも我が家に寄ってはくれんかね?

 

タ:それは・・・“お願い”でござるかな?

カ:ああ―――もちろん。

  それに、あれもそう願っておる事でしょうから。

 

タ:――――ですか・・・なら、“お願い”とあらば聞かぬわけにも参りますまい。

  つきましては、『無能の大食』の輩(ともがら)なれど、一宿一飯の恩に与り申す―――

 

 

〔今の―――彼らの会話には、例え不意に現れたとしても、それを客分として招き入れられるだけの、何かが存在しえていたのです。

 

そして―――ここで思い出して頂きたい・・・

タケルが、その庵を出る折に、幼馴染にいっていたこと―――“文を交し合っている者”のことを・・・

そう、それこそが彼=カインだったのです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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