≪五節;同じ“運命”を分かち合った者達≫
〔例え―――出身が異なったとしても、その考え方の根本が“同一”である・・・。
一方は―――幼くして執政官の補佐『老中』であり、来るべき“仁君”の再来の、
擁護をなすべき者である『清廉の騎士』でもあった存在・・・
かたや―――やはり同じくして、『神童』の呼び声が高きながらも、
その崇高な考え方が周囲に受け入れられず、自ら職を退(しりぞ)き、閉門蟄居していた存在・・・
そう―――過去の経緯がどうであろうとも、この両者の行き着いたところは、
『有能なれど、野に隠れざるをえなくなった存在』
だったのです。
こうして、同じ境遇を分かち合っていた二人は、互いに面接(つらあわ)せをした後、
遠い国からの客人を、自邸に招き入れたのでした。〕
セ:あっ―――あの・・・お口に合わないかもしれないけど・・・食べて下さい―――
タ:ええ、もちろん。
セシル殿が心を・・・丹精を込めて拵えたものです、御相伴にあづかりましょう。(ぱく)
セ:・・・・あのぉ〜〜どうですか―――?
カ:(ブッ!!)まっづいなぁ〜〜・・・なんだこれ?
少しサジ加減を間違えてやしないか??
セ:(ぐぅ・・・)に・・・兄さん・・・。
タ:はは―――まあまあ・・・
これはこれで、中々独創的な味わいがあって、良きようなものですよ。
カ:タケル殿・・・そこもとは実に上手い事を言うもんだなぁ〜〜。
こいつを傷つけることなく言うんだから・・・。
セシル、お前も日頃やりなれてない事をするから、こんな事になるんだぞ―――!?
セ:す・・・すみません―――(しょぼん)
タ:まあまあ―――普段やりなれていなくとも、一生懸命に拵えたんだ・・・責めるのはよしましょう。
カ:そうですか―――??
でも、まあ・・・お口直しに、私が作り直すとしよう・・・。
セ:すみません―――兄さん・・・。
〔そこには・・・例え、日頃つくりなれていないにしても、自邸に訪れた客人を、精一杯もてなすための料理が並べてありました。
でもそれは・・・その製作者の兄が言っていたように、お世辞にも、決して美味しいといえるものではなかったようです。〕