≪二節;三竦(みすく)み≫

 

 

〔そして―――今はハイレリヒカイト城内・・・

そこには他の『三将』の姿が・・・〕

 

 

セ:おはよう―――リリア。

リ:・・・・ああ、おはよう――――

 

セ:(あら?)どうしたの―――リリア、元気ないけど・・・大丈夫??

リ:――――大丈夫よ、今回の一件で気疲れしているだけだから。

 

セ:・・・・そう―――

 

 

イ:・・・・その子はね、今回私が不用意に特使として派遣した事から、

  本物の公主様に咎められて、少ししょげているの。

 

セ:ええっ―――?!

 

リ:イ・・・イセリア!そんな―――そんな事を・・・・

 

イ:あら―――言って悪かったかしら?

  けれど、私たち三人の間には、隠し事は無用よ。

 

  そう言ったのは、他でもない、あなたじゃなかったかしら―――?

 

リ:そ―――それは・・・そうだけど・・・・それは言わなくてもいい事じゃ―――

イ:あら?そうかしら?

  セシル―――今のを聞いて、あなたはどう思っているの?

 

セ:えっ? ああ・・・・そう―――気の毒だったわね、公主様ご本人だったなんて・・・

 

リ:う゛〜〜・・・。(しょんぼり)

 

イ:ほら―――御覧なさい。

 

 

〔そこには、仲間に元気よく挨拶をするセシルと、少しばかり気落ちしたような感じすらするリリア・・・

そして、その事を明確に説明するイセリアがいたのですが、

 

仲間が受けた恥辱の事実を、隠し事をせずにいた事も、また事実なのです。

 

ですが――――〕

 

 

イ:それはそれとして――――セシル、あなたのほうはどうなの?

 

セ:えっ? わ、私―――? 私・・・・は――――

 

イ:いいのよ―――隠さなくても・・・

 

リ:(えっ??)どういう事―――それは・・・

 

イ:あなた―――最近、“ある人物”を自邸に上げてるわね・・・。

 

セ:(ドキ!)そ・・・それをどこで―――い、いえ・・・それよりもイセリア、それをどうしてあなたが―――!!?

 

イ:別に―――驚く事はないでしょう?

  あなたの兄は、今、わが国に於いて、その動向が一番に注目されている存在・・・

 

  喩え、それが―――毎日釣れもしない“太公望”を決め込んでいる・・・に、してもよ。

 

セ:うぅっ・・・・

 

イ:言えないというのなら、この私から言ってあげましょう―――

セ:イ、イセリア――――!!

 

イ:昨日未明より、あなたの邸宅に来て、一晩逗留したその存在・・・

  それこそは“西方の雄”ラー・ジャの、もと・高等政務次官『老中』の≪タケル=典厩=シノーラ≫・・・

  その人じゃなくて?

 

リ:そ・・・それ、本当なの?セシル―――

 

セ:・・・・本当よ―――

  だけど、典厩先生は、私が認めた兄のニセ手紙で、私の相談に応えてもらいたくて来てもらったの・・・

  だから、何も疚しい事など・・・・ありはしないわ―――

 

イ:そう――――だといいのだけれどね・・・。

  まあ、それはそのくらいにしておきましょう――――・・・。(ふふ・・・勝ったわ―――)

 

 

〔なんと、そこには“月”と“花”のここ最近の動向を捉えておき、

それをもって自分の優位性を確保しようとする“雪”のイセリアが・・・

 

でも・・・では、どうして彼女は、味方であるはずの彼女達の弱味を握っておこうと思ったのでしようか。

 

ですが、それはやはり、自分がこの国に於いての、『文』『武』『治』の代表である<尚書令>だから―――

という解釈も成り立つのではありますが・・・・〕

 

 

リ:――――ちょっと待ちなさいよ・・・。

  なんだかんだいって、澄ましているようだけど・・・そういうあなたのところはどうなのかしらぁ〜〜?

 

イ:(ギクッ―――!)さ・・・さぁ〜〜―――? 何の事なのかしら〜〜〜?

  わ、私にはさっぱり―――

 

セ:・・・・ああ〜〜―――この人の許婚(いいなずけ)である、あの“ダメ男”君の事。

リ:そうよっ―――!

  それに・・・丁度今日は、あの日―――な事だしねぇ〜。(ニヤニヤ)

 

セ:確か――――今回で何回目だったっけぇ〜?

 

イ:・・・・・・・12回目・・・・・・・・。

 

リ:折角いい家(とこ)の出(坊ちゃん)なのにねぇ〜〜―――

  サルでも受かるのを、何回も受けてその度に落ちてちゃあ、世話ないわよねえ〜〜〜『騎士検』。

 

イ:(うぐ・・・・まじゅいですわ―――完全に旗色が・・・・)

 

セ:仕方がないわよ―――。

  うちのとこの男子諸君は、皆腕づく君ばかりで、脳みそに『合わせ味噌』使ってんだから―――

  (そこへ行くと、兄さんに、典厩先生は〜〜・・・)

 

 

リ:――――・・・。(セシルはとっくにあっちモード(現実逃避)のようね・・・に、しても、ブラ・コンにダメ・センかぁ〜〜)

イ:――――・・・。(折角あの人の為に、こいつ等の弱み握ったってぇのに・・・ま、だからこそ私たち女性が―――)

セ:――――・・・。(そういうリリアだって、男はアウト・オブ・眼中〜だし・・・・これからはピシッ!といかないと〜〜!!いけないのよね・・・。)

 

 

三人:・・・・・はあぁ〜〜――――・・・

 

 

〔おやおや――――・・・でも、それはどうやら違っていたようでして、

イセリアにしても、一番に触れられて欲しくない、“ダメな”許婚の事に・・・

最初にこの二人の弱味を暴露しておき、優位に立とう―――と、したところのようなのです。

 

ですが―――結果は御覧の通り、三人とも“痛みワケの引き分け”のようです。

(しかもも三人とも、タメ息ついて〜の物別れなんて・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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