≪七節;鵺vsキリエ≫
ア:どうしたのだ―――キリエ!!
キ:州公様!顔を覗かせてはなりません―――!
襲撃者にございます!!
ア:そうか・・・だが―――
キ:心得ております・・・無益な殺傷は禁ずる―――
ア:うむ・・・
キ:(キッ―――)そなたに聞く―――ここにおはすは、フ国・ガク州公アヱカ様と知っての狼藉か――――!
鵺:――――・・・。
キ:・・・そうか、別に言いたくないのなら構わない、ならば―――
鵺:・・・捕まえて聞き出せばよいまでの事―――(ニィ)
キ:うっ――?!
(な・・・に?彼の者の像が―――)周囲(まわ)りの樹と、同化し・・・
鵺:(フッ・・・)隙だらけ―――
キ:ぅおっ―――?!
(い、いつの間に背後に・・・これは、手加減がどうのと言ってる場合では―――)
女:≪ならぬぞ―――キリエ!!
もし、ここでお前が能力を開放してしまったら―――・・・≫
キ:≪主上―――≫
―――・・・ご安心を・・・第一段階で、表層面に関与しさえすれば・・・
この程度の襲撃は払って御覧に入れます・・・。
鵺:フ・・・よくよく、ナメられたもの――――だ!!
〔件の襲撃者は、余計な事は何一つ発せず・・・ただ、その代わりに、不適な笑みだけを残していたものでした。
そして――― 一瞬、キリエが気を許したスキに、素早く背後に回りこみ、ヒヤリとさせたのですが・・・
この襲撃者の不幸だった事は、州公の身辺警護をしていた州司馬のキリエという者が、
ただならぬ存在―――だったということ。
それを口にし、襲撃者である=鵺=を本気にさせたようですが―――〕
鵺:(中々に―――やる・・・。
やはり、あのときに私が感じていたのは間違いではなかった・・・
それに―――伊達に州司馬を名乗ってはいない・・・と、いうことのようね。)
キ:(この者・・・随分と手足(てだ)れている。
それに―――なんなの・・・この眸に宿せし“狂気”は・・・ヒューマンにしては、過ぎるものを持っている。)
鳳:(ああっ―――副長が・・・押され始めている。
援護しなければ・・・・)
キリリ―――・・・
ヒョウッ―――――――・・・
キ:(!!! 弦を引き絞る音・・・・の後に、風切り音!)(サッ―――・・・)
ト・トス―――
鵺:(これは―――!!)
キ:フッ・・・・中々に考えたようね、州司馬たる私に敵わないと見て、
後方に射手を配置しておく・・・なんて。
鵺:・・・違う――――
キ:なにが違うと―――? 現に、この二本の矢は・・・ナニ?
鵺:それは、私の一存ではない。
仲間の・・・やった事、その事は詫びよう、一発この身に打ち込むがいい・・・
キ:そう―――では、遠慮なく・・・
ド ス
鵺:うぅッ・・・(今のは―――効いた・・・)
鳳:(動かなくなっ――――あっ!副長!!)なら・・・・
キリリ―――・・・
鵺:(キッ!)やめろ、鳳―――!!
鳳:(えっ―――?!)(ポロ・・・)ああっ―――しまっ・・・
ト・ス・・・
キ:(・・・ここより35間(約63m)・・・)そう―――あなたの仲間、鳳というの・・・
ならば次はこちら・・・私は、ガク州司馬・キリエ=クゥオシム=アグリシャス。
今度は、加減はしない―――!!
鵺:く・・・っ―――(ぬかっ・・・た!?)
〔ホワイト・アウト=自らの闘気と凍気をミックスさせ、あたかも前方にいるように錯覚させる技、デコイ・プレッシャーの一種。
キリエと―――件の襲撃者、鵺が火花を散らしている最中・・・
先ほど、合図として『鏑矢』なるモノを放った鳳が、仲間の危機を感じ、事前に“するな”と言われたのにも関わらず、
援護として二つの矢を同時に射ったようです。
しかし―――キリエは、弦が引き絞られる音と、放たれた矢の風切り音で、素早く狙撃を察知し、よけたのです。
そして、この事を非難するキリエ―――なのですが、この事は鵺も知り於かなかったようで、
詫びの印として、一発自分の身を打たせたのですが・・・
これを狙撃地点から見ていた鳳は、反応的に矢を番(つが)え、引き絞った――――
と、その時、仲間の鵺からは、直ちに止めるように言われたのです。
その事に驚き、手にしていた矢をうっかり落としてしまった鳳・・・
そして、仲間に注意した―――その事で、一瞬・・・時間にして一秒と経たない間、スキができたのを、それをキリエが見逃そうはずもなく、
しかも、あの“形態”になってもいないのに、氷属性の技を繰り出し、アッサリと鵺を鎮めてしまったのです。
それを見た鳳は――――・・・〕
鳳:ああッ!副長―――!!
く・・・(チラ)(残る矢は一本・・・これを放って、すぐさま下に落としたのを――――)
あっ・・・・?い、いない―――
声:・・・狙撃はいい腕をしている―――けれど、その後がいけないわね。
鳳:え―――?? あァ・・・・い、いつの間に―――
キ:(やはり・・・)イロイロ・・・聞かせてもらうわ、あの者と一緒に――――
ガ ス ッ☆
〔仲間の鵺がやられた事に、鳳は報復として、手持ちであと残り一本となった矢を放ち、
その後、素早く下に落とした矢を拾い、続けザマに放つ―――つもりだった・・・
そのつもりだったのですが、このよそ見をしている間に、鳳が矢を落としてしまった事で、
いる位置を完全に把握していたキリエは、速やかに鳳のいる枝まで忍び寄っていたのです。
そして・・・その=鳳=なる者の顔を見・・・キリエは思ったのです、
やはりそうだったか――――
と・・・。〕