≪八節;“襲撃者”意外なるその正体―――≫

 

 

〔こうして、州公遭難の事件は、何一つ実害を被ることなく、一応の決着をみたのですが・・・・

では、どうしてこの二人が今回の凶行に及んだか―――と、

(分かっているにしても)この二人・・・=鵺=と=鳳=の正体の事なのですが・・・

その理由の如何を問い質すため、当身を打ち、鳳の気を失わせたキリエ――――・・・。

 

 

次に―――彼女達が気付いたとき、自分たちの目の前には州公アヱカと、州司馬のキリエが・・・

しかも、自分たちは罪人宜しく、腕を後ろ手に組まされ、縄を掛けられていたのです。

そして―――・・・簡易ながらのお裁きが・・・〕

 

 

ア:よし―――では、始めてくれ・・・・

キ:はっ―――

ガッ―――                                                       グググ・・・

ズル―――・・・

 

鵺:くっ―――・・・

 

ア:<あ・・・っ、この方は―――?>

女:――――・・・・。

 

キ:確か・・・あなたはユミエさんで、そちらはレイカさん―――だったわよね。

  どうして・・・あなた方二人が、私たちを襲おうと思ったのか、その理由を話してもらえないかしら。

 

ユ:・・・・理由――――

  (フフ・・・)その理由なら実に簡単よ。

 

ア:ほぉう―――・・・

 

ユ:第一に、州公様は“私的”だといい置かれ、過去には一人で・・・

  そして、三度は州司馬を連れ添ってあの庵へ来た・・・

 

キ:・・・・それが―――?

 

ユ:ああ・・・一つだけ間違っていたわ、州司馬たるあなたと・・・“だけ”と、いう―――ね。

  あなた―――州公様は、個人的にはどう思っていらっしゃるか、知らないけど・・・・

  一国の、それも大陸の中心となっている大国の一つの州を任せられているなら、相当に対したものだわ・・・。

  それを―――今までにたった一人の供しか連れずに・・・しかも、敵国かもしれない隣国に、そうそう来れるものなのかしら―――??!

 

ア:(そういう・・・事だったか――――)(はぁ・・・)

 :<女禍様―――・・・・>

 

ユ:私は―――普通一般に考え、あなた・・・州公様の行動には何か裏があるモノと推測した・・・

  そんな矢先―――チカラ様と、レイカが戻ってきたから、この行動に移した・・・それだけよ。

 

 

〔その―――=鵺=と=鳳=の尋問を開始するのに際し、

まづ・・・その顔半分を布で覆っている=鵺=が何者なのか・・・を知りうるべく、その布を取り外すと、

やはり――― =鵺=とはユミエであり、=鳳=も、すでにアヱカ・キリエ共に会っているレイカなのでした。

 

そして・・・今回この二人がどうして州公乗り合いの馬車を襲撃したか、

その首謀者たる=鵺=こと、ユミエの口からその理由を述べられたのを聞き、

アヱカ・・・いや、女禍様は、『早まった事をした・・・』と、省みられたのです。〕

 

 

ア:・・・そうか―――つまり、あなた方は、私の危機察知能力が欠乏している・・・と。

 

ユ:―――そうよ、だからそれを分からせるため、この私の一存にて今回の計画を実行に移した・・・

  そこにいるのは、こんなバカな上役の甘言に乗せられた、かわいそうな部下よ。

 

レ;ふ・・・副長―――! なんということを・・・

  私は、この計画をあなたから聞いたのに際し、“もう一人、後方に援護役たる狙撃手を置いた方がよいのでは?”と・・・

 

ユ:(フ・・・)何を言ってるのかしら、この子―――・・・捕まって頭がおかしくなったんじゃない?

 

レ;・・・・でしたら―――

  私は、この人から『州公様乗り合いの馬車が、林に差し掛かった時、“鏑”で知らせなさい・・・それが合図だから―――』

  と、だけ言われました、ですから・・・その後の狙撃に関しては、私の一存です―――

 

キ:そう・・・やはり、あのときの狙撃は、あなただったの・・・。

  (だから・・・この人が、あんな反応をした―――)

 

ユ:フフフ・・・本当に救い難(がた)いわね、そんなに死に急ぐなんて・・・

  あなた―――自分の“一存”と言ってたけれど、私にしてみれば、あなたのその性格を考慮した上で・・・

  つまり、予測の範疇内だったのよ、それを分からないなんて―――

 

レ;ふ、副―――

キ:つまり―――処断を受けるのは、自分のみでよい・・・と?

 

ユ:そうよ―――だって・・・もう・・・(これ以上、仲間が死んで逝くのは・・・・)

 

キ:そう・・・。

  主上―――州公様・・・いかが致しましょう。

 

ア:うむ・・・いづれにせよ、身分のある私を、そうと知っておきながら、襲いおいたのは“罪”ではある、

  ――――が、しかし・・・分かっているね、キリエ。

 

キ:ははっ―――

 

 

ア:<じ・・・女禍様?まさか―――この方達を・・・>

女:<まぁ・・・黙って見ていなさい、アヱカ。>

 

 

〔しかし―――そこには、自分たちの犯した罪を、他に擦り付けるような者はいませんでした・・・

ただ―――その上役らしき者は、その部下がやらかした事まで、総てを引っ被ろうとしていたのです。

 

それに相対し、一つの判断を下すアヱカ・・・

(しかし、アヱカ本人は、この二人が“断罪”に処せられるのは忍びない・・・と、思ったのか、敢えて『命ばかりは・・・』と、諭すのですが―――・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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