≪三節;無頼なる来訪者≫
〔そうこうしているうちに、どうやらゼシカが紅茶を淹れてきたようです。〕
ゼ:はい―――お待たせを致しました。
ヱ:有り難うございます―――・・・
(ずっ・・・)おいしい―――実に良い加減で淹れられて・・・
ゼ:いいえ、どういたしまして―――
ヱ:ところで・・・こんなもてなしを受けておいて、実に恐縮なのですけれど・・・
あなたのお母様は、いつお戻りになられるのですか?
ゼ:・・・・・・あの―――そのことなんですが・・・
―――すると、突然―――
―――ドン ドン ドン☆―――
ゼ:(はっ―――!)また・・・あの男だ―――
ヱ:(ぅん?)
ゼ:・・・はい―――なんでしょう・・・
バ:(バルザック;全身を漆黒の鎧で固めた、とある国からの使者)
おぅ―――今日が期限だったなぁ・・・考え直したか。
ゼ:か―――帰って頂戴! それに・・・もう来ないで―――って・・・
バ:(ち・・・)どうやら考え直すつもりはないらしいな―――
まあいい・・・おい、お前ら―――こいつを拉致っと・・・ぅん??なんだ―――あの小娘は・・・
ゼ:あ―――あの娘には関係のないことでしょう??
それに――今なんて・・・“拉致”だなんて・・・そんなことは昔ッから変わらないわね―――!!
バ:(フフン―――)言ってくれるじゃあないか、ゼシカ。
こんな小せェ頃から幼馴染だったろ?オレ達・・・
ゼ:そんな―――幼馴染だなんて・・・穢らわしいこと云わないでッ!!
幼い頃から・・・この辺でゴロツキばっかやってて・・・何一つまともな事なんて出来ないクセに!!
それに―――なんだって、あんな黒い噂しか立たない処なんかに・・・出てって頂戴!!
〔自分の母の安否となると、急に口ごもってしまうゼシカ・・・
―――と、そこへ、突如として、けたたましく叩かれる家の扉・・・
その扉を開けると、なんとそこにいたのは、あの漆黒の鎧を纏った、ゼシカの幼馴染だという・・・バルザックという男なのでした。
しかし―――そこには、穏やかな光景は存在しませんでした・・・
なぜなら、カ・ルマ流の、強引なまでの遣り口があったのだから―――・・・
そして、それはまづ―――“拉致”という行動に出るようですが、ゼシカも然る者、いくらかの抵抗を試みたようです。
すると―――今までの始終を見ていた少女は・・・〕
〜ガ シャッ☆〜
ヱ:・・・あら、うっかりティー・カップを落としてしまいましたわ。
ねぇ―――ゼシカさん・・・申し訳ありませんけど、お変わり淹れて下さらない?
それも―――・・・
―――とびきりお熱いのを―――
――――・・・ね。
ゼ:えぇ・・・・あ、は、はい―――
バ:(ちっ―――)フンっ―――・・・
ゼ:お・・・お待たせしました―――
ヱ:・・・有り難う―――
ちょっと、あなた―――こちらへおいでなさい。
バ:ぁあ?! オレに言ってんのか―――
ヱ:そうよ―――
バ:(ち・・・面倒くせぇ―――ガキが・・・)なんなんだ―――
〜バチャッ―――!〜
バ:うっ――!わっ?! あっ・・・熱っ―――!!
な、なにしやがるか!この小娘が!!
ヱ:フン―――随分と退屈な反応をするわね・・・お前―――
下らないわ。
ゼ:(えっ―――ええっ??!
こ・・・この娘―――どうして? それに―――それに・・・話し方が、まるで――― 一変した・・・?)
〔そう―――なんとこの少女は、いきなり上がりこんできたこの無頼の者達の、その首領格に向かって―――
誤って割ってしまい、淹れ替えてもらったばかりの“熱い”紅茶を、その者の面体にひっかけたのでした。
すると、当然の如くの反応を起こすバルザック・・・と、その反応を見て、“下らない”という評価を下したヱリヤ―――
そんな二人を見て、驚いてしまったのは、渦中の人物であるゼシカだったのです。〕