≪四節;自己発炎能力(パイロキネシス)≫
〔そしてまた―――当然の如くの、退屈なまでの科白を吐く者は・・・〕
バ:こんのぉ〜〜――いい度胸してるじゃあねぇか!!
このバルザック様にこんな事をしておいて・・・
ヱ:“タダ”じゃすまない? まあ・・・こちらもタダで済ませるつもりはないが―――・・・
バ:な、ナニをおう??
ヱ:第一
―――婦女子に対してのマナーがなっていないな、お前・・・
それに・・・そんなダサダサの、趣味の悪いモノを着て―――この女(ヒト)の事をなびかせようなどとは・・・
万が一、冗談にしても機微を疑うね・・・。
バ:るっせぇ―――! おい、ヤロウども!! この小娘如き・・・外へつまみ出せ!!
ナメるなよ・・・このオレは、今では中隊の長はってんだ・・・今までの返礼、陣中へ帰ってたっぷりとしてくれるぜ。
ヱ:フッ―――フフフ・・・
バ:ぁ゛あ゛?! ナニがおかしいか―――
ヱ:おや、失礼―――だが、お前のようなカスが“中隊”の長・・・だとは、
よほどカ・ルマには人材が乏しいと見える。
だから嗤ったのだ。
それに―――見たところ、そのダサい鎧についているエンブレム・・・ アウナス のところのようだなぁ?
バ:な―――なにぃ??! な・・・ナゼ、お前が・・・アウナス様の事を・・・・
ヱ:フン―――彼奴(きゃつ)めも・・・相も変わらず見る眼がない―――と、言ったところか。
“中隊”クラスでこの程度―――なのだから・・・な。
まあ、尤(もっと)も―――“大隊長”“師団長”ともなると、レベルのほうも少しばかり上がってくるのだが・・・・
〔“不注意”からか―――それとも“わざと”なのか・・・手元に持っていたティー・カップを落とし、
要求した“お代わり”―――しかも、今度のは『とびきりお熱い』モノ―――を、
ゼシカの幼馴染で、今はカ・ルマのとある将の、中隊の長をしているバルザックなる者の顔にかけたのです。
その余りにもの突飛な行動に、ついには怒り出すバルザック―――
しかし・・・この時からだったのです―――
ヱリヤの口調が、“おしゃま”なモノから、急に“大人びた”モノになったのは・・・
しかも、それに併せるかのように、バルザックが属しているところの“魔将”の名まで詳らかにした・・・
そのことに、ゼシカは大いなる疑問を持ったのです。〕
ゼ:(この娘―――どうしてこいつが所属しているところの・・・それも『魔将』の名を知っているというの・・・
それに―――気のせいなのか・・・ここが少し・・・暑い―――暑くなってきている・・・!!?)
バ:(このガキ・・・なんなんだ、さっきから―――
オレの上官のアナウス様の事を知っているかと思いきや・・・
さっきから、このオレを睨みつけている眼はなんだってンだ―――・・・
くそぅ・・・こうなったら〜〜―――)
おいっ―――!お前ら!! さっさとそいつ等・・・かっ攫(さら)え―――!!
兵:ははっ―――分かりました。
兵:さあ・・・こっちに来るんだ―――(ぽん)
ヱ:(むッ?!)私に・・・気安く、手を触れるなっ―――!!(くわッ!)
〜 ぼ う っ 〜
兵:う、うわっ―――!!
兵:(あちち・・・)なにぃ―――?!
ゼ:(炎・・・)これは―――『自己発炎能力』(パイロキネシス)!!
〔様々な思惑が交錯する中―――ついに、痺れを切らしたかのように、ヱリヤとゼシカを攫(さら)おうとするバルザック。
ですが、彼の配下の兵士が、ヱリヤに手を触れようとした途端―――彼女は くわ! と目を見開き、
その兵卒の持っていた縄と、その手を・・・自己の持ちうる能力にて、焼いてしまったのです。〕