≪六節;衝撃の事実≫
〔それは――――衝撃・・・。
それは、“衝撃”というには、余りに衝撃的に過ぎる・・・『事実』なのでした・・・。〕
ヱ:そ―――そんな・・・そんな、バカな?!!
ゼ:――――・・・。
〔古えからの知己の家を訪ね、その存在の息災と・・・以前に貸与していた“あるモノ”を返してもらうために、
そこへ現れたヱリヤ・・・。
けれども、そこには知己の姿はなく・・・代わりに“娘”だと名乗る女性―――ゼシカ―――がいたのです。
最初は、知己がいないことに『昔にも、高名な技師だったのだから、余所へ引っ張りだこなのだろう・・・』と、思っていたのですが―――
以外にもそうではなく、知己の娘―――ゼシカの口から、重々しく聞かされた・・・
ある衝撃の事実を持って、思い知らされる結果となってしまったのです・・・。
そう―――彼女は、もう・・・・〕
ヱ:う・・・ウソだろう? ニルが・・・ニルが―――・・・
ゼ:・・・いえ―――本当なんです、母は・・・先年、病を患って―――
ヱ:そんなっ―――!亡くなっただなんて!!
(クラ―――)うっ―――うぅ・・・・(クラクラ〜)
ゼ:あぁっ―――!お方様・・・!!
〔そう・・・ヱリヤが会いに来た、ニルヴァーナという存在は・・・もう、既に亡くなっていたのです・・・。
その事実に直面し、少なからずの動揺をし―――また、“制御”のない状態での能力(チカラ)の開放を試みたがゆえに覚えたのか・・
思わず立ちくらみがし、その場にて蹲(うずくま)るヱリヤ・・・。
やはり―――相当なショックがそこにはあったようです・・・
そして、甲斐甲斐しくも彼女を抱え、自分の母が使用していたベッドへと運ぶゼシカ・・・〕
ゼ:はい―――お水です・・・
ヱ:ああ―――・・・・有り難う・・・。(くぴ)
(ふ、う・・・)お蔭で少し落ち着いたよ。
ゼ:申し訳ありません、黙っておくつもりもなかったんですが―――
ヱ:ああ・・・それは、分かっている。
あの時現れていた、カ・ルマの者達の事だろう?
ゼ:・・・はい。
あの男―――バルザックは、母の存命中にもしつこく訪れ・・・
母の持つ技術も含めて、この度はカ・ルマに組みしろ・・・と。
それが心労になって―――母は病に倒れ・・・しかも高齢だったため、病床に就いてからは早いものでした・・・
ヱ:そうだったのか―――・・・もう少し、早くに訪れるべきだったな・・・。
ゼ:いえ―――・・・それにしても、よくお越しくださいました。
ヱ:・・・ところで、話しは変わるが・・・
ゼ:あ、はい―――お借りしていたものですね・・・お待ちになって下さい。
〔どうやら人心地つき、落ち着きを取り戻したヱリヤ―――
そこで、どうして母が亡くなったか―――の経緯を語るゼシカ・・・。
そのことを聞いて、ヱリヤは早速に本題の一つ・・・貸していた≪クヴェル≫“グノーシス”『プロミネンス』の受け取りを促せたのでした。〕
ゼ:はい―――お待たせを致しました。
ヱ:有り難う・・・。
いいかね、ゼシカ―――お前も・・・お前の母と同じ道を歩むのならば、ニルの最後の仕事―――よぅく目に焼き付けておきなさい・・・。
ゼ:(あ・・・)は、はい―――!
〔新調された≪クヴェル≫を手にし・・・今度は何に気兼ねをすることなく、能力(チカラ)を全開にするヱリヤ・・・
すると―――・・・〕
ヱ:はぁあああ――――っ!!
ゼ:(はぁ―――っ・・・ぁぁあ!!)そ・・・んな―――ほ、炎が・・・!!?
(あの時は・・・四方に散っていた炎が・・・一つに集約されて―――この方の意の儘(まま)に・・・!!)
ヱ:ふふ―――・・・やはり、あやつの手にかかったモノを使うと、実に馴染む・・・。
まあ―――こんな事を言ったりすると、またあやつにどやされてしまうが・・・な。
ゼ:それは―――どうしてです?
ヱ:私と―――ニルの奴は・・・今のお前からすると、どう思っているかは分からないが・・・・
個々のイデオロギーの違いから、よく諍(いさか)いを起こしていたものだったよ・・・。
あやつは―――自分の“作品”に対して『誇り』を持っていた・・・
それを、私なんぞが“大量虐殺”に使ったりするものだから・・・ニルの奴は嫌がってね。
そのことを分かってやれない当時の私は、あやつと何度も衝突を起こしたものさ。
それを見ていた シュタ−デン の奴がこう言っていたよ・・・
『お前様も、私も、ニルちゃんのこの技術のお蔭で活躍できてるんだよ。それをなんだって―――』
―――・・・ってね。
あの時は・・・正直何を言っているものか―――と、思っていたが・・・
それが・・・こんな事で思い知らされるなんてっ――――!!
ゼ:お方様――――・・・
(・・・よし―――)あの、ちょっと来て頂きたい所があるんですが―――・・・