≪四節;五州公≫
〔某日未明―――都城であるウェオブリ城から、少しばかり離れたある建物にて・・・
続々と集いたる五人もの人物が―――・・・〕
カ:(カ=カク=ハミルトン;25歳;男;この者が治めるジン州こそは、フ国六州の内でも、財政面・州政面共に抜群の安定性を誇っている。
また文武に秀でた男でもあり、州公としては今期で5年を迎える。)
これは・・・チ州のソン殿、お久しぶりにございます。
ソ:(ソン=リク=アブラハム;21歳;男;この者が治めるのは、王都ウェオブリがあるチ州。
元は中央文官の一人だったが、その政治的手腕をイクに買われ、弱冠17歳にしてチ州公となり、今期で4年目を向かえる。)
(ちなみに・・・チ州は、ジン・ギに次ぐ安定性を誇っている。)
これは―――ハミルトン殿、おなつかしゅうございます・・・。
カ:しかし―――珍しい事もあるものです。
フ国の一地方にしか過ぎない“州”を治むるその長が、この王都に一堂に会しようとは・・・。
ソ:ええ―――・・・この事を提言した、新たなるガク州の州公・・・
只ならぬ人物のような気がいたします。
カ:うむ―――確かに・・・
(しかし・・・私を含め、このソン殿と、ギ州のコウ殿・・・この三名は素直に准じたようだが―――
後の二名をどう収めるか・・・正念場だな。)
〔今の二人は、ジン州公の カ=カク=ハミルトン に、チ州公の ソン=リク=アブラハム ・・・
どうやらこの二名は、気心が知れあっているようですが・・・それもそのはず、ジン州とチ州とは、
その境をフ国内でも南北に隣接しており、互いの州間での交流も頻繁に交わされていたようです。
そして―――こちらはもう一つの集団・・・〕
テ:(テン=リ=ローファル;27歳;男;この者が治めるのはシン州。
実はこの者・・・州公について日も浅く、今期で2年になる。)
ヤレヤレ―――気楽な者達だ・・・今がどういう時期か、分かっているのか・・・。
キ:(キン=ウ=アシュクロフト;33歳;男;この者が治めるのはレイ州。
実はこの者は、この六つの州公の中でも、最も息が長く、今期で11年目を迎えるが、
当初―――アヱカがこの州に配属されそうになった背景といい、州政の評判のほうは、まずまずといったところのようである。)
全くだ―――日頃州の政務に、忙殺されておるというのに・・・
コ:(コウ=ジョ=タルタロス;29歳;男;ギ州を治める、寡黙なる雄将・・・。
実はこの者、元々はフ国軍の第三軍を統括していたが、とある男との出会いで、政治方面にも目を開く事に・・・
今期で9年目を務める、前述のキンと並ぶ、息の長い州公の一人。)
――――・・・。
キ:ヤレヤレ、そこもとはまただんまりか・・・。
口数が少ないのもいいことだが、それではあらぬ誤解を招く因(もと)だぞ?!
コ:―――――・・・・。
テ:・・・・アレだけ言われても、梃子(てこ)でも動きそうにないもんだな。
――――聞こえているのか??
コ:――――・・・。
テ:・・・まあいい―――
それより、キン殿のところは、どうして今回来ようと思ったので?
キ:うん―――?うむ・・・
いや―――実はな・・・本来なら、新参者の言には耳を傾けまい―――とは思ったのだが・・・
ワシのところにもう一通、ある方から『出席を怠らないように』との信書を頂いてな―――・・・
テ:ほ―――・・・それはもしかすると・・・
キ:ああ、王后・リジュ様からなのだ。
テ:成る程―――ではキン殿も・・・
キ:―――と、いうと・・・そこもともか??
テ:ああ・・・
キ:そうよなぁ―――司徒・イク様からの信書は無視できても、
ボウ殿の妹君のご助言―――と、あらば聞かぬわけにも行くまいよ・・・なぁ。
テ:―――・・・。
〔今の三名は、シン州公の テン=リ=ローファル に、レイ州公の キン=ウ=アシュクロフト と、ギ州公の コウ=ジョ=タルタロス ・・・
―――なのですが、どうやら今までの彼らの会話を聞く限りでは、テンとキンの二名は、今回の事に余り乗り気ではなかった様子・・・
でも、どうしてこの二名が出席に至ったかは、とある者の差し金―――そう、王后であるリジュからの口添えがあったからこそ・・・だったようなのです。〕