≪八節;凛然≫

 

 

〔そして―――これからいよいよ本題と入っていくのですが・・・

ここで、他の誰もが、アヱカの未だ知られざる一面を、目の当たりにしてしまうのです―――〕

 

 

カ:それでは―――まづ、何について話し合いましょう。

ア:では―――議長に提案。

 

コ:(ナニ―――?)

ソ:(は―――話し方が・・・)

テ:(今までと一変した??)

 

 

ア:実のところ―――・・・なんともお恥ずかしい話しなのですが、

  我がガク州においては、六割もの租税を徴収していたのです。

 

  そこで―――私は、他の方々にも聞いてみたいのではありますが・・・

  各州では、一体どの程度の税を取り立てておりましょう。

 

カ:―――私のところは二割ですが。

ソ:それは、私のところでも―――・・・

コ:拙者のところでも同じでござる。

テ:オレのところでもそうだ―――

キ:・・・・ワシのところもだ―――

 

ア:やはり・・・そうでしたか―――

 

 

〔彼らは―――目を見張りました・・・。

それというのも、初見したときには、優しくもあり、実に嫋(たお)やかな印象しか、周囲には与えなかったのに・・・

 

それが、一転して議事に入ると、今までの印象が反転してしまい、端々としながらも、凛とした顔つき―――話し方になり、

それであるがゆえに、『これが同一人物か?』という疑問の声も、一部にはあったようです。

 

でも―――彼女の持ちかけた内容は、的外れではなく、そのことがこれから真剣に討議される様子です。〕

 

 

ソ:ですが―――聞いた話によると、ガク州ではこれから二年もの間、税の取り立ては行わない―――とか・・・・

コ:しかも―――・・・それまでのモノを、民達に開放しているとも聞く。

テ:なんと―――? では・・・州官たちはどうやって飯を食っていくんだ?

 

カ:アヱカ殿、それについては―――

 

ア:はい。

  なんともお恥ずかしい話しですが、それにつきましては、至急私自身が州の本倉に点検に入りましたところ・・・

  それだけのモノを開放してしまっても、“二年”は大丈夫だろう―――と・・・

 

カ:ふむ、成る程―――

 

ア:それに―――・・・皆様も知ってのおいでのように・・・

  私の州では、兵の二割を削減いたしました・・・。

 

  ですが―――これは、今までに耕されたまま放置されている、土地の復活を視野においていたことに他なりません。

 

ソ:―――しかし、それでは・・・侵略を受けたときに・・・

 

ア:いかにも―――しかも、この方策を打ち出してすぐに、カ・ルマからの侵攻を受けてしまいました・・・

 

テ:だが―――オレの聞いたところによると、味方の損害はなし・・・

  でも、敵さんは全滅したというじゃあないか。

 

コ:ああ―――そのことは、拙者のところまでも響いてござる。

  しかも、その時には・・・“龍の嘶(いなな)き”が聞こえていた―――とか、いない・・・とか。

 

カ:(“龍”・・・もしかすると―――)

  アヱカ殿、そのことについては―――

 

ア:・・・・申し訳ありませんが―――

  私とて、直接に見たわけではありませんので・・・

ただ―――州司馬の副将が、その存在と会ってはいたようですが・・・

  生きて帰還したところを見ると、相手にされなかった―――と、見るべきでしょうか・・・

 

カ:・・・周囲(まわ)りに、カ・ルマの軍がいたのに―――??

ア:――――そのようです・・・

 

 

〔その初めは、“各州毎の税の徴収”や、“二年間も徴税を行わなかったら”―――などが討議されていましたが、

次第に・・・ごく最近にあった、ガク州の境での事変に取って代わり―――

しかも、他の州でも・・・とある者の事は持ちきりだったのです。

 

そう―――・・・ガク州兵は一兵たりとも損なわれていないのに、全滅してしまったカ・ルマ軍・・・

と、その時に現れた――らしい――“蒼龍の騎士”の存在に・・・

 

ですが、アヱカ―――は、ナニ知らぬ顔で、そのような報告は聞いていない、ただの噂話だ―――と、言ったのです。〕

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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