≪五節;偽って逃げ敵を誘うの法≫
キ:まづ―――軍を三つに分けます。
500を一つ―――に、750を二つ。
ヒ:(ぅん?! 750を二つ・・・)おい、それ―――って・・・
キ:そう、500の部隊には“囮”となってもらいます。
そして、頃合を見計らって退いてもらいます―――
ヒ:あ゛あ゛?!まァタ逃げんのかい―――
キ:そうです―――ですが、今回のは、敵を誘い出さなくては意味を持ち合わせません。
ヒ:ホホぅ―――敵さんを誘(おび)き出そう・・・ってかい。
――――んで、そのあとは?
キ:(フ・・・)伏せておいた、残りの二隊で、側面を突く―――
いかな、大軍を擁したとしても、その側面は意外と脆いはず・・・そうすれば、敵は混乱をきたし―――
ヒ:撃退成功―――ってなわけかい。
おぉッし―――なんだか、俄然やる気が出てきたぜぇ〜?!
おう―――司馬殿、その囮役、オレにやらせてくれ。
キ:・・・・だけど―――敵兵を誘い出さなくてはならないのよ?
あなたみたいな闘い方では―――・・・
ヒ:へへっ―――まあ、そういうなぃ!
あいつ等に、怪しまれねぇ程度に、逃げてくりゃあいいんだろ。
それによぉ―――オレは、どっちかッつぅと、伏せてじっと待つより、暴れて引っ掻き回すほうが性に合ってんのよ―――
キ:(はぁぁ〜〜あ・・・だからこそ―――なのよ)大丈夫かしら―――・・・
でも、まあ・・・そこは信用するしかないとして―――左右の隊の振り分けをしましょう。
〔それこそは、『偽退誘敵』という作戦。
しかも、偽って退く味方を、敵が追ってきたところに、左右に伏せておいた本隊の1.5倍もの兵力で迎撃に当たる・・・
これは―――その昔・・・キリエ自身が、自分の“母”であり、“上官”でもあった存在に、よく言って聞かされたこと・・・
『(戦の)勝敗とは、兵の多寡にあるまじ、ただ、将の機智にかかるを知るべし』
―――これを、踏襲していたからなのです。〕