≪七節;“迷”囮役≫

 

 

〔そして―――ヒは、何かが奥歯に挟まったような・・・そんな釈然としない気持ちのまま、行軍をしていたのです。

 

そう・・・またも、軍の後方で、実際の戦場に立たない司馬のキリエ―――・・・

でも、前(さき)の『空城の計』といい、今回の『偽退誘敵』といい―――かなり高度な戦略・・・いや、軍の経験が豊富そうなキリエ―――・・・

 

その差異を感じながら・・・・

 

 

でも、今は、自分たちの存亡を賭けた一戦なので、そのことだけに邁進するようです。〕

 

 

ヒ:おぅおぅ―――!! てめぇら何しにきやがってんでぇ!

  余所様の庭に勝手に上がりこみやがるたぁ―――・・・

ははぁ・・・さては、小せえ頃、よくママンに躾てもらえなかった奴等だなぁ〜?!

 

ダ:(ダンダーク;今回の、この方面の攻略を任された者、カ・ルマ七魔将ザルエラ麾下の武将)

  なんだぁ―――?あの痴れ者は・・・目障りなヤロウだな。

  (フン・・・)放っとけ―――放っとけ――――こっちが相手にせなんだら、諦めて帰りよるわ・・・

 

 

〔生来から口の悪かったヒは、それを大いに活用して、何とか敵を誘い出そうとしているようです。

 

―――が、敵も然る者、そう用意には乗ってこない模様です。

 

しかし・・・放っておけば放っておくほど、ヒの悪態は度を増していき・・・ついには頭に来てしまったダンダークは・・・〕

 

 

ダ:くっそぅ〜〜〜―――あんちきしょうめが!!

  あそこまで言い置かれて、黙ってられるか―――!!

 

  それに・・・見れば、たったのアレだけじゃあねぇか――― 一気にもみ潰してくれるわ!!

 

 

ヒ:へっ―――・・・どうやら、てめぇがお山の大将らしいなぁ・・・会いたかったぜぇぇ〜〜。(ニヤリ)

ダ:ほざけ―――! キサマ如き・・・一気に屠(ほふ)ってくれるわ―――!!

 

 

〔まづ―――戦端は、ヒとダンダークの間で行われ・・・そして、徐々に兵同士の間で行われていきました。

 

しかし―――目に見えているように明らかな事は、圧倒的な兵力の差・・・

これには、さすがのヒもたまらない―――と、見たか、機を見計らって退き始めたのです。

 

でも、それこそがこちらの当初の計画通り―――それを知ろうはずもないダンダークは・・・〕

 

 

ダ:はっ!!待ちやがれぇ〜〜―――っ!! 貴様だけは許すわけにはいかん!!

  代わりに・・・その馘を置いてけぇ〜〜―――!!

ヒ:へへっ―――そ〜〜う、そぉ〜〜う・・・こっち、こっち――――

 

 

〔悪態をつくだけついてきた、憎いアンチキショウを許せるはずもなく、

思わずもそいつを追いかけていたら・・・〕

 

 

副:ダンダーク殿ぉ〜〜! お待ちなされ、深入りしすぎですぞ―――!!

ダ:ナニ?! おぉっと―――しまった・・・

 

―――すると、その時―――

 

 

シャッ―――                                                                                                                                                      

                キィ〜〜―――ン

 

ダ:ぅおおっ―――キ、キサマぁ〜〜!#

ヒ:へへっ―――ダメじゃねぇかよ・・・しっかりついてこなけりゃあよ・・・

 

ダ:(ムカッ#)待ちやがれ―――! もう許してやらねぇぞ!!

 

 

〔つい・・・熱くなりすぎ、自分の陣地より遠く離れすぎてしまった―――

そこを、副将の一人に諫められ、一旦は我にかえるのですが・・・

 

そこを今度は不意を突かれた―――つまり、冷めた頭に、また火が着いてしまい・・・結果、必要以上に、敵を追い込んでしまった―――

そのところへ―――??〕

 

 

ヒ:(よし・・・)それっ―――今だ!!

 

〜〜わぁぁっ!〜〜

 

ダ:な―――なにっ?! し、しまっ―――・・・

 

 

〔自分が追っていた敵が、急に反転―――と、同時に、左右から別の隊が現れ、

まんまと『偽退誘敵』の計略にかかったダンダーク・・・〕

 

 

―――もう・・・―――

―――何もかもが・・・―――

―――遅かったのです―――

 

 

―――なぜならば―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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