≪二節;他人には言えないこと・・・≫
ヒ:ところでよう―――どうしてあんた、オレ達が帰還したときに、すぐに出迎えにこなかったんでぇ?
キ:わ、悪かったわね・・・こちらも、すぐに出てこれない事情というものがあるのよ。
ヒ:はあ゛?!あんたの―――“事情”? なんだ―――そいつは・・・
キ:い―――いいじゃないっ! そんな・・・恥ずっかしいコトを、女性に聞くものじゃないわっ!!
ヒ:あ゛?! “恥っずかしいこと”―――って・・・
(ふぅぅ〜んむ・・・)なあ、おい―――そこのお前。
兵:あ、はいっ―――!自分のことでありますか。
ヒ:ああ〜そうだ・・・ところでなぁ―――オレ達が帰還するまでの間・・・
あの女(ひと)、どこに行ってやがった―――?
兵:あぁっ―――いやっ、そのぉ〜〜・・・じ、自分の口からはとてもぉ〜〜・・・
ヒ:ぁ゛あ゛?! なんだ―――お前も喋れないってか・・・そうか――――
〜ぐわっし〜
兵:あ゛っ―――!へっ??
ヒ:なぁ〜〜ら・・・(ミシミシ)これでどうかなぁぁ〜〜〜?(ミシミシミシ)
兵:あ゛い゛い゛っ・・・・い、言います―――言います―――!!
か、厠ですぅ〜〜!!
ヒ:あん゛?! 厠―――って、一体いつから・・・
兵:そ・・・それが―――将軍達が出撃した頃より・・・でして。
ヒ:はあ? オレ達が出撃した頃から〜〜―――って、随分なげェ話しだなぁ・・・
するってぇと―――
うん・・・
ゴキンッ――――☆
ヒ:〜〜〜ってぇ―――!
誰だ!背後ろから殴りつけるヤツ――――・・・は。
キ:ちょっとぉぉ〜〜〜っ・・・ヒソヒソ話するんなら、もう少し小さな声で・・・
しましょうね゛っ!
ベイガン!!##
ヒ:あ――――あれっ??! お、オレ・・・そんなに大きな声・・・出てた?
兵:は・・・はい。(コクコク)
〔ヒは、キリエがどうして自分たちが帰還した折に、すぐに出迎えに来なかったのか―――の、理由を聞いたようです。
すると彼女曰く『すぐに出て行かれなかった』と言ったようですが、そのことをますます訝しんだヒは、
近くにいた、この砦を守備していた兵を捕まえ、問い質したのです。
――――が、そこでも、この兵士は、宜しくキリエに口止めでもされているのか、真相を話そうとはしなかったのです。
そのことに業を煮やしたヒは、自分の腕力にモノを言わせ、まさに頭蓋も握りつぶさんばかりに、その兵士の頭をつかんだところ・・・
彼もどうやらそれには耐えられなかったらしく、戦の最中にキリエがどこにいたのか、ついに口を滑らせてしまったのです。
すると―――どうやらキリエはある場所、『厠』・・・そう、現代で言うところの<W.C><トイレ><便所>に行っていたという事なのですが、
普通一般に用を足すだけならば、そんなには時間はかからないはず、それが今回の戦の初め―――から終わりまで・・・とは、
それだけにヒも、つい頭に思ったことを声に出して言ったところ―――
不意に誰かに後頭部を殴られた・・・でも、その“誰か”とは宜しく、目が逆しまに釣りあがっているキリエなのでした。
しかも―――・・・〕
ヒ:ああっ・・・・ま、まぁ〜〜〜その―――なんだな?
こんな前線近くで、いくら踏ん張っても―――出ねぇものは出ねえから・・・・
兵:(ぷぷっ―――・・・)
兵:(ぷくくく―――・・・)
キ:(顔紅っ!)あ・・・あんたねぇ〜〜―――じ、自分で言ってること・・・分かってんの?!
ヒ:え゛っ?! でも―――司馬殿・・・『便秘』なんだろ??!
キ:(ずっぎゃ―――ン!)―――――・・・・。#
兵:(あっ・・・・鬼だ―――)
兵:(鬼がいる―――)
〔“そう”と分かったから、弁護に廻る意味で、何とかフォローに廻ろうとするヒなのですが・・・
それがどうやら、違う方向に驀進してしまい、フォローどころかますますキリエのイメージを悪くしてしまう事になってしまい、
結果―――・・・は、言わずもがな、といったところでしょうか。〕