≪三節;もう一人の策謀の士≫
〔閑話休題―――
一方のこちら、クー・ナ方面攻略の担当となったカインは、かの国の“三大兵糧庫”の一つである『チンソー』を前に、
なにやら策をめぐらせているようです。〕
カ:(ふぅ〜む・・・戦略的観点から見ても、これからの戦・・・長丁場となるは必定。
そのためにも、この・・・『大兵糧庫』であり、要塞並の堅さを誇るチンソーを攻略するのは意味のあること。)
〔今―――この者が申していた事とは、『戦』を、その度毎の“戦闘”という尺で見る<戦術>ではなく、
むしろその<戦術>すら視野に置き、どのようにすれば自勢力に、最終的な“勝利”をもたらせるか・・・を、
宜しく考察する<戦略>なのでした。
確かに、小競り合いとは称されながらも、“局地的戦闘”の勝利もある意味大切な事。
しかし同じ『戦』に見えても、時には“歴史”をも変えてしまうような{大戦}は、これまた違った意味を持ち合わせているのです。
それは、いったん見誤ると大変なことになってくる・・・
その“大戦”に敗北してしまった事で、今までの小さな勝利は帳消しに―――
方や“大戦”に勝利した事で、逆に負け続けてきた軍が活気を帯びる事となり、
やがてはその相手勢力を滅する事となる。
しかし、それは国家存亡の見地でもあることなのです。
そして―――そのことを宜しく鑑みれる者こそ『軍師』・・・。〕
カ:(―――しかし、他国に そう であると気取られるのも、得策ではない・・・。
何とか、少ない犠牲でモノにはしたいもの・・・だな。)(スッ―――く)
兵:おお―――カイン殿、ここにおられましたか。
皆が探しておられましたぞ。
カ:・・・ああ―――そうであったか、いや、すまないな。
〔でもカインは、まだカ・ルマに組して日も浅く、この要職には就いていなかったのですが、
彼は今、自身に眠る畏るべき智謀をして、この拠点に挑まんとしていたのです。
そして、作戦会議―――〕
長:ふぅ〜んむ・・・あの拠点も目障りだが―――
長:うむ・・・しかもホウキ・イナバ・サヌキの3つも視野におかんとしているのは、ちと無理がありはしませんかな?
カ:――――・・・。
長:カイン・・・殿?
カ:うん?うん・・・
確か――――ここは、元々あちらの拠点『ビャクテイ』ではありませんでしたかな。
長:えっ?! はぁ・・・まあ、そうです―――が?
カ:やはりそうでしたか・・・。
では、元の持ち主のところに返すと致しましょう。
長:・・・・はぁあ?? カイン殿―――あんた、言うに事欠いてなに言ってんの??
カ:(フ・・・)そのかわり―――前(さき)の私の予告通り、かの三拠点と、三大兵糧庫の一つを貰い受ける。
まぁ・・・こちらにとっても損のない話・・・だとは思うがね。
長:(は―――・・・)ぁ゛あ゛あ゛?!
そんなことが―――可能なのですか?!
カ:ああ・・・それに、上手くすれば双方とも一兵も損なうことなくこちら側のモノになる。(ニィ)
〔その・・・新参者の彼の立てた策略とは、まさに大胆であり、且つ壮大なものでした。
そして以前、ヨミの前で公言した通り、『ホウキ』『イナバ』『サヌキ』の三拠点と、
おまけにクー・ナの“三大兵糧庫”の一つである『チンソー』までも視野においていたことに、
ちょうどその場にいた兵長達は驚きの色を隠せなかったのです。〕